J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2012年08月号

連載 グローバルビジネスに役立つ教養の本棚 第8回 哲学を学ぶ 「 東洋哲学」 日本理解に欠かせない源流

東洋哲学は、西洋哲学と異なり、現代社会の制度的成り立ちに直接かかわっているわけではない。また、現在の中国やインドのあり方をそのまま示す、ともいいづらい。日本人にとって、東洋哲学とは「自分自身の探求」に関する示唆をくれるものなのである。

名藤大樹(なとう・ひろき)氏
1998年、一橋大学商学部卒業。三和総合研究所(現 三菱UFJリサーチ&コンサルティング)入社。組織人事戦略の分野で民間企業、官公庁等に対するコンサルティング業務に従事。2006年一橋大学大学院商学研究科経営学修士コース修了。

東洋哲学を知ることの重要性

前回は、西洋の哲学とビジネスの関係について紹介し、西洋の哲学はそれが具体的な社会制度の形に昇華され、日本にも実際に影響を与えていることを指摘しました。

今回は、東洋哲学(思想)を扱います。日本は江戸末期の「開国」以降は、西洋の影響を強く受けましたが、その前までは、インドや中国から仏教・儒学・国の統治制度などさまざまなものを輸入してきました。日本を形づくった源流を知るという意味で、東洋哲学を知ることは欠かすことができません。

また、インドや中国は新興国としてこれからますます経済・文化の面で存在感を増してくることが予想されます。これらの国が現在も「伝統的な東洋風の思考原理」で動いているかは、すぐには判じかねるところですが、基本知識としての東洋哲学の必要性は高まっていくのではないでしょうか。

東洋哲学を学ぶ意味と注意点

東洋哲学はビジネスパーソンには実用性がない、ということではありません。東洋哲学の実用性は、西洋哲学の実用性とは少し違うところにあります。日本のビジネスパーソンにとって、東洋の哲学とは「社会や組織の中における自分の身の処し方」「自分自身の探求」についてのヒントを与えてくれる存在なのです。

先に述べたように、日本の社会は、インドや中国の思想から大きな影響を受けて成り立っています。特に東洋的な「人間関係についての考え方」(ソフトウェア)については、明治維新を経て、西洋風の制度(ハード)を取り入れた後も、2010 年代の日本にも、かなりの程度残っています。

私たちの常識となっている「年上の人を敬う」「弁舌よりも不言実行を美徳とする」は『論語』に代表される中国の儒教の影響ですし、「大安や仏滅といった日のめぐりを気にする」風習も元は中国から輸入したものです。他にも例を挙げれば限りがありません。

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