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論壇 上級管理者の指導・しつけに関する一考察
挨拶ができない、周囲に対する思いやりがないなど、従来なら当たり前とされることができない管理職が目立ってきた。しつけがなっていないのは、若者ではなく大人なのだ。管理職のしつけがなっていないことは、個人の問題というだけでなく、彼・彼女らのリーダーシップ、部下育成、人間力にも暗い影を落とす。そこで、本論では、しつけの重要性とどうしたら管理職に真の気づきをもたらし、しつけについて学んでもらうことができるかを紹介する。
1リーダーのマナー悪化が組織に及ぼすマイナスとは
最近、日常で大人、特に年配者がルールを守っていないケースによく遭遇する。たとえば、信号で子どもが赤信号で信号待ちをしているのに、多くの大人が守っていない。また、普段自社の中では従業員に声さえかけない管理職が、食堂や飛行機内でサービスを受ける立場になると、とたんに傲慢になる、といったように。「 ルールを守る」「周囲の人に思いやりを持つ」「挨拶をする」など人として基本的なことができていない大人が目に見えて増えてきたと感じる。しかも、そうした振る舞いが、意外にも知識層やリーダー層に見られることは非常に残念なことである。
リーダーのこうした振る舞いは、企業にとって大切な、「人材育成」にも大いに影響を与える。
たとえば、OJTで上司が部下を育成する場合、大切なことは、「何を、どのようにするか」というスキルよりも、「誰がそれをいっているのか」という人物に対する信頼が重要な要素になる。信頼があれば、この人の話を聞こう、この人についていこうという気持ちが生まれ、学びも起こる。つまり、現場では、言行一致のリーダーのもとでしか人は育たない、ということである。
そこで、現在の企業環境の中で、上司の立場にある上級管理者に改めてしつけを行い、日本企業をより強くすべきという提言が、今回の論壇の趣旨である。
2上級管理職を“しつける”教育プログラム
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プロフィール
1976 年 米国留学後、大学院(国際政治経済研究科)修了。MBA 取得。大手メーカーにて海外営業、流通業にて販売部セールスマネージャー、教育トレーナーを担当を経て、日本能率協会マネジメントセンターに入社、チーフHRMコンサルタントとして活躍。共著に、『図解でわかる部門の仕事 人材開発部』(日本能率協会マネジメントセンター)、『経営戦略リファレンスモデル』(ITコーディネート協会)など。