No.13 個性を見極め、楽しい場をつくる“面白く喋れる人”の育て方 石井 玄氏 玄石 代表取締役/コンテンツプロデューサー|中原 淳氏 立教大学 経営学部 教授
石井 玄氏
人は誰しも指導者になる。これは講師やマネジャーに限った話ではない。組織で働く人であれば、一度は人を育て、チームを育む指導的役割を担う機会が訪れる。本連載では人の成長に寄与し、豊かな成長環境を築くプロ指導者たちに、中原淳教授がインタビュー。第13回はラジオ・イベント・ポッドキャストのプロデューサー石井 玄さんにお話を伺った。
[取材・文]=井上 佐保子 [写真]=中山博敬

今のポッドキャストには深夜ラジオの自由さがある!?
中原
オールナイトニッポンのチーフディレクターとして数々の人気番組を生み出してこられた石井さんは、現在、ご自身の会社を設立され、音声コンテンツの制作を中心に様々な企画を手掛けられています。まずは、独立して会社を立ち上げられるに至った経緯について教えてください。
石井
深夜ラジオにどっぷり浸かった大学時代を経てラジオの制作会社に入社し、オールナイトニッポンのディレクターを9年近くやりました。その後、ニッポン放送に入社し、プロデューサーとして東京ドームのトークライブイベントを実現させたことで、ラジオでやれることはやりきった感覚がありました。会社を辞めて、その後やることは決めていなかったのですが、ポッドキャスト制作のオファーがあり、「ラジオの延長でなく、純粋にポッドキャストをつくってみたらどうなるだろう?」と興味が湧き、制作することにしました。
中原
ラジオの世界で活躍なさっていた石井さんがポッドキャストに惹かれたのはなぜですか?
石井
やはり圧倒的な自由度の高さです。ポッドキャストは、この2年ほどで著名人や企業が続々参入していて、配信者数は爆発的に伸びています。機材や編集ソフトの進化で、誰もが気軽に配信できるようになったこともあり、SNS感覚で気軽に始める人が増えているのです。テレビでやれない面白いことを配信のYouTubeやNetflixで実現できているのと同じ現象が、今ラジオの世界でも起きていて、つくり手としてすごく興味がそそられます。深夜ラジオの自由さに憧れてこの業界に入ったので、あの自由な感じを、もう一度実現できるのではないか、と。
番組づくりの要は「目的」と強みの活かし方
中原
ポッドキャスト番組の企画、コンセプトはどうやってつくっていくのですか?
石井
大事にしているのは「目的」を深く掘り下げることです。ポッドキャストは目的ではなく手段です。「いろんな人に聞いてほしい」「ラジオをやってみたい」は目的ではありません。その番組をやることで、どんな効果を得たいのか。たとえば、シェフの鳥羽周作さんのポッドキャストの目的は、「お店に食べに来てくれるコアなファンを増やす」こと。そこで、鳥羽さんの人間性が伝わるようなトークを中心に番組を設計したところ、番組を聞いて来店した、という方が増えました。番組の目的と本人の目的が重なると、収録が楽しくなりますし、自分のためにもなるので長く続けられます。
中原
企画の第一歩は「目的」を明確にすることが重要なのですね。とはいえ、話すことに慣れていない方もいます。どのように指導し、話せるようにしていくのですか?

