CASE3 レバレジーズ リアルな事業開発体験が学生を惹きつける 採用の母集団形成と育成に寄与するインターンシップの設計と運営 日盛将真氏 レバレジーズ 人事本部 新卒採用部 マネージャー
採用はエンプロイージャーニーの最初の一歩だが、新卒相手の場合、就活の前にも学生と接点がありうる。職業体験であるインターンだ。レバレジーズは、毎年3万人以上の応募者から通過率約0.4% という狭き門の「サマーインターン」を採用の母集団形成につながる重要施策として位置づけており、参加後に入社した人材は目覚ましい活躍を見せているという。学生を惹きつけ、同社の事業にも直結するプログラムの設計や運営方法と、その後の人材育成に通じる考え方を聞いた。
[取材・文]=村上 敬 [写真]=レバレジーズ提供
学生から圧倒的支持を受けるサマーインターンシップ
レバレジーズはポートフォリオ経営を行うベンチャー企業だ。ITの人材総合プラットフォーム「レバテック」から、医療・福祉・ヘルスケアの人材・SaaS事業「レバウェル」、オンライン診療「レバクリ」まで、幅広い領域で年間10以上の新規事業を生み出し続け、毎年125%以上の成長を続けてきた。スタートアップはIPOを目指すことが少なくないが、同社は2005年の創業以来、あえて上場せずプライベートカンパニーとして経営を続けている。その背景には、特定領域に集中投資するのではなく、幅広い社会課題に分散投資して挑戦していくポートフォリオ経営の思想がある。
レバレジーズが採用で重視するのが新卒市場だ。新卒と中途の比率はおよそ7対3で、直近の26年卒では約950名もの新卒を迎え入れた。スピード重視のスタートアップは即戦力に頼る傾向が強いが、なぜ同社は新卒を中心に据えるのか。人事本部新卒採用部マネージャーの日盛将真氏はこう明かす。
「ダイヤモンドの原石は新卒市場に出現しやすい。優秀な人材は新卒で入った会社で活躍して、なかなか転職市場に出てきません。もちろんキャリア採用も重要ですが、中長期で持続的に成長することを重視して、新卒採用を大切にしています」
新卒採用活動の母集団形成に寄与しているのが、毎夏開催するサマーインターンシップだ。今年の応募数は約5万5,000人。通過率は約0.4%で、狭き門だ。日盛氏が責任者に着任した5年前の応募数は約8,000人だったが、応募者数は6〜7倍にまで増えた。狭き門であるにもかかわらず、なぜ毎年応募が殺到しているのか。
「『ベンチャーを知りたいならレバレジーズ』と口コミで評判が広がっているようです。参加した先輩が勧めてくれたという話もよく聞きますね」
学生がレバレジーズのサマーインターンにベンチャーらしさを感じるのは、プログラムが「新規事業開発」にフォーカスを当てたものだからだろう。詳しくは後述するが、参加者は3日間で新規事業のアイデアを練り、事業戦略書や収支計画書のレベルまでアウトプットすることを求められる。
同社がサマーインターンを始めたのは2013年。その当時から、テーマは新規事業開発だった。
「創業者の岩槻知秀は、大手だけでなく、ベンチャーという選択肢の魅力を学生に伝えたいと考えてサマーインターン制度を始めました。ベンチャーで働く魅力の1つは、答えのないなかで自分たちで一からあれこれ考え、何かをつくっていく思考労働。その面白さを体験できるのが新規事業開発でした」
実はサマーインターンで新規事業開発を行う目的は他にもある。事業計画の内容が良ければ、ただの疑似体験で終わらせず、実際に事業化を目指すのだ。
サマーインターンから生まれた事業は多い。たとえば17年のサマーインターンから生まれたのはM&A支援事業「レバレジーズM&Aアドバイザリー」。また、前述の「レバクリ」は22年のサマーインターンが発端で始まった事業で、すでに業界トップクラスにまで成長している。まだ発表前だが、昨年の開催から事業化に向けて動いているものも複数あるという。
「学生はビジネスの経験がなく、偏見のないアイデアを出してくれます。議論していると、新鮮な視点に驚かされることも多いです。私たちは本気で事業をつくりにいくし、サマーインターンはそのきっかけの1つとして活用させてもらっています」

