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CASE.2 主体性を発揮するからこその楽しさ 自発性を促し、環境を整えることが活発な“課外活動”に結びつく
日本オラクル(本社:東京都港区)では、自らのキャリアと、それを達成するための能力開発はまず本人が考えるという風土が根づいている。そしてそうした主体性が、さまざまな勉強会や業務外の取り組みにも発揮されている。社員が主体的に活動できる環境をどのようにサポートしているのかを紹介する。
●考え方能力開発には個々人がオーナーシップを持つ

日本の多くの企業では、階層別研修に代表されるように、会社や組織から指示された教育を社員が受ける、というスタイルが今でも主流となっている。これに対して日本オラクルでは、「社員が自分に必要な教育は、自ら選んで学ぶセルフサービスが基本です」と人材・組織開発部 シニアディレクターの赤津 恵美子 氏は話す。「キャリア開発やスキルアップ研修、OJTは、本人と上司、会社の三者のパートナーシップで実施しますが、社員が当事者意識を持って取り組むべきものであり、上司は職責としてそれを支援し、会社はリソースを提供する、というのが当社の基本的な考え方です」こうした考えのもと、能力開発を目的として、同社ではIDP(インディビジュアル・ディベロップメント・プラン)を導入している。これは、年度始めに年間の業績目標と発揮すべきコンピテンシーの目標(Plan)を立て、年間を通じて実行(Do)し、年度末に評価(See)するというサイクルで実施する目標管理に合わせて、能力開発のPDSサイクルも回すものである。業績目標を達成するには、伸ばさなければいけない能力がある。本人が自分で業績目標を立てることで、能力開発の目標も明確になり、主体的な取り組みが促進される。プランを立てる際は、1年後の目標だけでなく、より長い目でキャリアを展望したうえで、この1年で伸ばしたい能力を3 項目ほど挙げ、それぞれを伸ばす方法をまずは自分で考えることになっている。「研修に参加することは、能力開発全体の1割程度に過ぎません。多くのことは実践でこそ身につくものです。そのためには、上司が実践の場を提供することも必要になるので、自分で能力開発の方法を考えた後は、上司の助言や援助を仰ぐというプロセスになっています。Off -JTとOJTを組み合わせてスキルを伸ばす方法を、上司と一緒に考える仕組みと言えます」(赤津氏)
●環境づくり1能力開発プランを社員自ら立てやすい仕組み
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プロフィール

豊留 珠実 氏 人事本部 人材・組織開発部 担当シニアマネジャー
日本オラクル
米国オラクル・コーポレーションの日本法人として1985年に設立。国内を拠点とした情報システム構築のためのソフトウエア・ハードウエア製品、ソリューション、コンサルティング、サポートサービス、教育の事業を展開。資本金:230億400万円、売上高:1531億4800万円(2013年5月実績)、従業員数:2497名(2013年5月31日現在)
[取材・文]=増田 忠英 [写真]=日本オラクル提供、本誌編集部