J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2014年08月号

ID designer Yoshiko が行く 第86回 ASTDで語られた眠れる能力の起こし方

寺田 佳子(てらだ よしこ)氏

シジェイ・キャスト執行役員、IDコンサルティング代表取締役、日本イーラーニングコンソーシアム理事、IT人材育成事業者協議会理事、eLP(eラーニングプロフェッショナル)研修委員会委員長、熊本大学大学院教授システム学講師、JICA‒NET ID Seminar講師、ASTD(米国人材開発機構)会員。著書に『学ぶ気・やる気を育てる技術』(日本能率協会マネジメントセンター)など。http://yoshiko.teradalive.net

前号で、ASTD(American Societyfor Training and Development:米国人材開発機構)がATD(Association for Talent Development:能力開発機構)になる、というビッグニュースをお伝えしたが、そこでハタと困惑したのは、会場に集まった研修担当者や講師たちである。「これからは研修ではなくタレントを開発するのだ」と言われても、さて明日から、何をどう変えればよいのやら。なにしろ英語のTalentには、「能力」の一言では表しきれない微妙なニュアンスが含まれている。それは、「まだ十分に開花していない、持って生まれた才能やスキル」という意味。TEDの講演で有名な英国の教育思想家、ケン・ロビンソン卿が言うところの、「今までの教育ですっかりスポイルされていて、心の奥深くに眠る、本人も気がついていない能力や情熱を発掘する」ことが、これからの人材育成のプロの仕事というわけである。なるほど……。と頷いてはみるものの、「眠れるタレント」という曖昧模糊としたイメージに困惑の度はますます深くなるばかり。ワークプレイスでのパフォーマンスやコミュニケーション力、リーダーシップ力といった「目に見える能力」ならお手のものだが、「眠れるタレント」をどうやって見つけだせばよいのか。そんな悶々のあげく、「さまよえるタレント難民」と化した研修担当者や講師たちがドッと押し寄せたのが、2014年注目度No.1の「Neuroscience(神経科学)」関連のセッションと、リベラル系ニュースサイトTheHuffi ngton Post Media Groupの社長兼編集長として人気No.1のアリアナ・ハフィントン(Arianna Huff -ington)氏の「真の成功を手に入れるために心がけるべきこと」という基調講演である。アタマの中、ココロの奥を探ってみたら、その「眠れるタレント」とやらが見つかるかもしれない、ということである。

アタマから引き出すには

まずはアタマのほうからと、いそいそと向かったNeuroscience(神経科学)とBrain-based Learning(脳科学に基づく学び)のセッションは、軒並み「Session Full(満員御礼!)」。中でもニューロ・リーダーシップ・インスティチュート社のディレクター、ジョシュ・デイヴィスの「学びの神経科学」は立見もギッシリの盛況ぶりだ。学びのメカニズムや記憶のシステムについてはすでにさまざまな理論があるが、それを科学的な切り口で見せたところが今年風かもしれない。例えば、その内容はこうだ。○脳には、感情にかかわる『扁桃体』と記憶を司る『海馬』がある。○「嬉しい! 楽しい! 面白い!」といったポジティブな刺激があると神経回路が広く強くなり、カテコラミンという物質が扁桃体に送られ、そこで「好き・嫌い」や「気持ちいい・悪い」といった感情が生まれる。○そしてお隣りの海馬へもその感情が伝えられ、海馬も刺激を受けて活発に働き始め、新しい情報と既知の知識・イメージとのリンクがどんどん広がり記憶が確かなものになる。○逆に、「悲しい、怖い、つまらない」というネガティブな感情を持つと神経回路が狭く弱くなり、扁桃体も海馬も動きが悪くなる。

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