J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2014年08月号

おわりに 日本とローカルの壁を取り去ることがグローバル化のスタートとなる

グローバル化の中のアジア

電機、自動車、食品など、日本にも世界企業は多く存在する。それなのに、日本企業はグローバル化に後れをとっているという声を耳にする。輸出大国ニッポンとして成長する過程では、日本本社が海外に拠点をつくり、日本からオペレーションを行い、ローカルのトップには日本人を置く。これが日本式グローバル化だった。

しかし、世界の潮流では定義が違う。P&Gなどの欧米企業に見られるように、国籍にかかわらず適任者を現地のトップに配置し、現地に合わせた研究開発、生産、マーケティングを行うことがグローバル化としている。日本は、この定義によるグローバル化に後れをとっているというわけだ。国内市場が飽和になった産業は、国外に活路を見出すしかない。国外のうち、地理的な条件やビジネス慣習の理解のしやすさ、そして何より莫大な人口を抱えるアジアはそうした課題を持つ日本企業にとって魅力的だ。本特集では日本企業が世界的なグローバル化の波の中で、特に今後有望市場として注視されるアジアにおいて、ベストな企業活動をするために必要な人材要件とは何かをひも解くことに焦点を当てた。そこからはいくつかの示唆に富む人材育成のあり方が浮き彫りになってきた。これを、日本人駐在員とローカル人材に分けて考えてみたい。

日本人駐在員に求められる姿

3名のオピニオンが共通して指摘するのは、海外赴任にあたって、何らかの方法で海外を経験した後に赴任させることの必要性だ。OPINION1の白木三秀早稲田大学教授(28ページ)は駐在員に欠かせない3つの経験として、「トップマネジメントの経験」「海外で働く経験」「海外の人と一緒に働く経験」を挙げている。しかも、海外経験は若いうちから行うのが望ましいとしている。この考えの好例といえる取り組みを行うのが、NEC(40ページ)だ。

NECは「新卒で入った社員がNEC文化、日本企業の文化に染まる前に、グローバルな働き方とはどういうものかを身につけてほしい」「文化や考え方が特殊な日本の環境になじんでしまうと、ローカル人材をまとめていくのは難しい」ということからGTIという制度を実施している。今後新たな事業分野でグローバル展開を本格化していく同社にとって、将来的なグローバルリーダーを多く生み出すために必要な施策であるとしている。タイをはじめとするアジア現地法人との交流が広いOPINION3のJMAホールディングス野元伸一郎氏(36ページ)も、「まずは海外経験させることでグローバル観を身につける取り組みも今後日本企業では本格化するだろう」と述べている。海外は日本人にとってストレスを生みやすい環境なので、その事前準備は周到に行うべきことはわかっていながらも、なかなか対応できていない現状に警鐘を鳴らしている。また、駐在員に求められるスキルとして、トップ層にもミドル層にも望まれるのが、問題解決などの業務遂行能力である。特にミドル層には「部下に明確な業務目標を示している」「目標実現のため各人の役割を部下に自覚させる」「あいまいな状況や誤解を解消しようとする」といった部下管理能力を含む対人能力の高さも必要だと、在アジアの日系企業の調査結果からわかったと白木教授は言う。これは何も駐在員に必要というよりも、日本の組織においても基本要件であるが、異文化という壁を意識することでこうしたパフォーマンスが発揮されないとの指摘もある。日本とグローバルの壁を取り去ること、それがグローバル化のポイントになるということだ。

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