J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2014年09月号

TOPIC 「Open Workshop Designer Week」レポート 組織の壁を越える場づくりを行う人はどうつくる?

青山学院大学社会情報学部のワークショップデザイナー(WSD)育成プログラムは、ワークショップの企画・運営ができる人材の育成をめざす社会人向け講座だ。5月25日~30日の5日間、青山学院大学は「OpenWorkshopDesignerWeek」として、WSD育成プログラムを広く知ってもらうため、特別無料講座を開講した。その中から、最終日に行われた特別講座をレポートすると共に、同プログラムの概要について取材した。


内山 厳 氏
苅宿 俊文 氏
青山学院大学 社会情報学部 教授
G office代表、HRDコンサルタント 青山学院大学 社会情報学部 非常勤講師

取材・文/井上佐保子 写真/井上佐保子、青山学院大学提供

WSD育成プログラムとは

「講義型研修だけでは参加者に飽きられてしまう」「対話型研修によってコミュニケーションを促進したい」など、さまざまな理由から企業内研修の中にワークショップを取り入れたいというニーズが増えている。しかし、効果的なワークショップの企画、運営を行うためには、それなりの知識と実践経験が必要だ。

ワークショップデザイナー育成プログラム(以下、WSD育成プログラム)は2008年度、文部科学省「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム事業」の委託を受け、苅宿俊文氏(青山学院大学社会情報学部教授)と平田オリザ氏(劇作家、演出家、大阪大学コミュニケーションデザイン・センター教授)が、青山学院大学と大阪大学の協同事業としてスタートした社会人向け講座だ。

企業研修の現場や、地域活性化、医療現場などさまざまな領域でのワークショップの活用を目的として、その企画・運営ができる人材の育成をめざしている。

同プログラムは1期3カ月、120時間のカリキュラム(うち対面講座が13日間、eラーニングが約40時間)。1クラス25名のクラス制で、多様な背景を持ったメンバーと共に学び合う場となっている。

WSD、つまりワークショップの実践者の育成を目的としているため、プログラム構成はワークショップに関する理論を学ぶだけでなく、その企画、実践、振り返りの流れを経験できるような実践的な内容になっている。講座修了後は学校教育法に基づく履修証明書が発行される。

講師陣による公開イベント「OpenWorkshopDesignerWeek」では、5日間にわたって平田オリザ氏、苅宿俊文氏ら講師陣が無料講座を行った。その中から最終日、5月30日に行われた特別講座の模様と、苅宿氏からのメッセージを紹介する。

【特別講座】研修の新しいカタチを探る。ワークショップ型研修のつくり方

内山 厳氏 G office代表、HRDコンサルタント 青山学院大学 社会情報学部 非常勤講師

この特別講座の講師はHRDコンサルタントの内山厳氏だ。参加者は約40名、まずは各テーブルに6名ずつ座り、互いに自己紹介。参加者は企業の人事、研修担当者が多かったが、研修講師、まちづくりNPOに所属する人などさまざまだ。

内山氏は、「企業内研修をもっと魅力的なものにすれば、その意義を理解してもらいやすくなるかもしれません。その1つの方法として、体験を通して学ぶワークショップ型研修のデザインについて考えていきたいと思います」と、講座をスタート。はじめに、ワークショップ型研修を企画する際の注意点について触れた。

内山氏は、研修を行う目的を「組織の問題解決につながること」であるとし、ワークショップ型研修を企画する際は、最初に「組織の問題解決にワークショップ型研修が効果的なのかどうかを吟味する必要がある」と話す。

ワークショップ型研修の準備として最初に行うべきことは、単に机を島型にする、といった形式的なことではない。まず考えるべきは「参加者がどのようなプロセスを体験することが、組織の問題解決につながるのか」ということなのだ。

例えば仕事上、部署間の連携がうまく取れていない、といった問題があるのであれば、異なる部署の人同士が問題解決に当たるような体験ができるワークショップを考えてみる、といった具合だ。

体験してもらいたいことのイメージができたら次は、「没入しやすい環境をどのようにつくり出すか」―つまり、参加者に体験への参加を促す仕組みを考える。「見ず知らずの人たちとかかわって、いきなりハードルの高いことを要求されるのは、負荷が高いものです。しかもそれが評価されるとなると、さらに負荷が高くなります。どうすると負荷が高く、どうすると低いのかを考えてみましょう。理想としては、参加者に気づかれないうちに徐々に負荷が上がり、最終的には『こんなことをやってしまった!』となるようなデザインができるといいですね」

一方で、単に「いい研修だった」で終わってしまっては、企業内研修の目的である組織の問題解決につながっていかない可能性もある。

「職場に戻っても学習効果を持続させるためには、どんな仕掛けがあるといいのかを合わせて考えることが重要です」

また、内山氏は自身がワークショップ型研修をデザインする際、大切にしているポイントとして、下記の3点を挙げた。

「あそぶ」……遊びのように受講者が体験に没入する、行為そのものに夢中になれるようなデザインを心がける

「はなす」……複数の人で対話を行うことが学習につながるような仕掛け、コミュニケーションを増幅するプログラム上の仕掛けを考える

「ためす」……話し合ったこと、考えたことを実際に試し、試した結果を振り返り、意味づけることで学習の効果を上げることができる場を設ける

「シーンスタディ」を体験

「では、今日は短い時間ではありますが、私が活用している『シーンスタディ』というワークショップを体験していただきます。この体験を通して、どのようにして『没入できる環境』をデザインするかを考えてみましょう」

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