J.H.倶楽部

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Learning Design 2020年09月刊

気づきのエンタ MOVIE リーダーは“スキル”ならぬ“器”で選ばれる

人材開発担当者にご紹介したいエンタメ情報です。
仕事の合間の息抜きにぜひ!

『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』
2019 年 フランス
監督:フランソワ・オゾン
配給:キノフィルムズ/ 東京テアトル





樋口尚文(ひぐち なおふみ)氏
佐賀県出身。映画評論家、映画監督。
早稲田大学政治経済学部卒業後、電通に勤務。
30年にわたり会社員をしながら映画評論家、映画監督として活動。
著書に『大島渚のすべて』(2002年)他多数。
映画作品に『インターミッション』(2013年)、『葬式の名人』(2019年公開)など。

フランスの鬼才、フランソワ・オゾン監督の『グレース・オブ・ゴッド告発の時』は、ベルリン映画祭の銀熊賞を獲った意欲作だが、なんと現在裁判が進行中の小児性愛者の神父による幼児への性暴力事件を扱っている。被害者の少年があまりのショックから自ら被害を封印していたり、事なかれ主義の親たちが教会相手に物騒なことはしたくないので被害にあった息子を懐柔したりと、様々な理由によって告発を逃れてきた。

心に傷を抱え続けた大人たちの決断

ところがある日、今はもうすっかり大人になって家庭ももっている被害者の1人が、神父がまだ子どもに聖書を教えていると知って唖然とし、新たな被害者を生まないために告発すべきではないかと立ち上がる。このドラマがユニークなのは、訴え出ている人びとが事件に直面したのが子ども時分の大過去であるということだ。普通の犯罪では被害者はすぐさま犯人を訴えるわけだが、この事件では犯人の立場も、そして犯罪の内容も、被害者を悶々と泣き寝入りさせる要因になっていた。だから、被害者の子どもたちは大人になるまで、さらにはなった後でさえも、とてつもないトラウマを抱えて生きてこなければならなかった。

それなのに、いやそれゆえにと言うべきだが、訴えるに至るまでに何十年ものブランクを生んでしまった。そのブランクの長さが犯行の罪深さの証しでもあるのだが、しかしこの表向きの事実としてはずっと放置されてきた大過去の出来事を、犯罪として司法に認めさせることができるのか。この難題が本作に独特なスリリングさを与えている。

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