J.H.倶楽部

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Learning Design 2020年09月刊

特集│CASE 1 NEC テレワークは組織文化変革と自主性尊重のため 理念の明文化・対話・研修で マネジメント力強化を目指す

「働きがい」を目指して長年にわたり取り組みを進めるNEC。
近年は、組織のカルチャー変革を視野に入れたテレワークにも積極的に取り組んでいる。
同社のテレワーク導入による効果とマネジメント力強化策を、今後の方向性を含めて聞いた。

杉本稚代氏 NEC 人材組織開発部 シニアマネージャー
藤井沙紀氏 人事総務部 主任

日本電気株式会社
1899年設立。政府・官公庁向けパブリック事業、民需向けのエンタープライズ事業、通信事業者向けのネットワーク事業、ビジネス向けのコンピュータ・ソフトウェアなどを提供するシステムプラットフォーム事業、海外市場向けのグローバル事業の5つの事業から成り立つ。
資本金:3,972億円(2020年3月末現在)
連結売上高:3兆952億円(2019年度実績)
連結従業員数:11万2,638名(2020年3月末現在)

[取材・文]=菊池壯太 [写真]=NEC 提供

30年以上にわたり働きがいを追求

5Gをはじめとするネットワーク技術や生体認証、AI、IoT といった先端技術の開発と提供、そして、海底から宇宙まで、あらゆる業種において、幅広く社会インフラを支える日本電気(以下、NEC)。グローバルで社員数11万人を数える同社は、社員の「働き方」に関しても、30年以上にわたり多くの実験的な取り組みを続けてきた。

1984年には国内初の試みとして東京・吉祥寺にサテライトオフィスを開設。以降も裁量労働制度(1998年)、モバイルワーク基盤(2008年)、勤務間インターバル(2012年)等の取り組みを進めてきたが、2017年度になると、働き方改革の推進を本格化。翌2018年には、社内変革の一大プロジェクトとして「Project RISE」を始動させた。

Project RISE では、社内変革のひとつとしてスマートな働き方の実現を目指し、「意識改革」「インフラの整備」「業務・プロセスのシンプル化」という3つのアクセラレーター(加速媒体)のもと(図1)、一人ひとりのパフォーマンスを最大化するために、「働く時間」「働く場所」「働くスタイル」をよりフレキシブルなものにしていくことがうたわれている(図2)。

こうした流れの一環として2017年に作成され、翌年春から運用が始まったのが、テレワークでのセキュリティーの考え方や注意点、マネジメントの留意点をまとめ、社員に周知するための「テレワークガイドライン」である。同ガイドラインが策定される以前からテレワーク活用を推進してきた同社であるが、同ガイドラインの特徴は、全社員が利用することを前提に策定されたことだ。翌年4月には、制度としての制限を大きく緩和した。

たとえば、以前はテレワークの対象となるのは、事前に書面で申請し上司の許可を得た人に限られていたが、書面の申請を廃止した。また、テレワークの回数についても週1回までだったところを※、制限なしに改めた。
※ 通勤配慮者(育児/介護、障がい等)は当初から回数制限なし。

カルチャー変革を推進するためのテレワーク

テレワークを推進する目的は、働き方改革の一環ということだけではなく、社員の多様性と自主性を尊重し、自走していけるチームをつくることにあるという。テレワークガイドラインが制定された当時の状況を踏まえ、人事総務部主任の藤井沙紀氏は次のように話す。

「ガイドラインの運用が始まった2018年は、中期経営計画に基づき会社の風土改革に本格的に着手した年です。中期経営計画には『実行力の改革』が掲げられていますが、顧客のニーズにこたえ続けるために、社員の力を最大限に引き出し、実行力を高めていく必要があり、これをどう実現していくかについて様々な議論が行われました。

働き方改革についても、弊社では長年にわたり『働きがい』に関する取り組みを進めてきましたが、制度を定め、その制度に合わせて社員が働くというそれまでの運用から、最適な時間や場所、あるいはスタイル(服装など)について、各自がベストなものを自ら選択して働けるようにという方針に大きく舵を切りました。そのうちの1つが、働く場所の制限を取り払うテレワークなのです」

テレワーク・デイズへの参加を通じて徐々に浸透

ガイドライン策定後、同社のテレワークはどのように浸透していったのだろうか。

「当初は、見えない場所で仕事をすること自体に不安や抵抗を感じる人が、特にマネジャーに多かったため、マネジャーに対して、まずはテレワークそのものを前向きに検討してほしいと呼びかけました。一方で、テレワークはあくまで業務遂行のための一手段であって、新しい権利や福利厚生の一環ではないことを説明しました。また、たとえば、体調が悪いから家で寝込む傍ら時々仕事する、といったことは認められません。体調の悪い人はまず休むべきですから。そういった判断基準をガイドラインで提示し、もしテレワークにはふさわしくないと思われるケースがあれば、中止しても構わない旨を伝えました。マネジャーの心のハードルを下げる努力を、まず行ったのです」(藤井氏)

こうした呼びかけとともに、テレワーク・デイズ※への全社的な参加等により、浸透を図っていった。テレワーク・デイズの参加者は、取り組み初年度の2017年は単体で約3,000名だったのが、2018年よりグループ全体に展開し、約2万6,000名、2019年は4万1,286名にまで増加している。

なお、同ガイドラインに加えて、2020年7月には「働き方デザインブック」を発行している。

「テレワークに限らず働き方が多様化し、個々人の働き方の選択の余地は広がっています。それを自分でどう決めていいのか、基準がわかりにくいという声もあるため、守るべきポイントや考え方を盛り込んでいます。無秩序ではないということを繰り返し伝えていきたいと考えています」(藤井氏)
※ 予定されていた2020年東京オリンピックの開会式にあたる7月24日を「テレワーク・デイ」とするもの。国・東京都・関係団体が連携して2017年より実施。

テレワーク導入の効果と課題

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