健康経営イベントレポート 「イキイキと働く」を実現する! 健康経営のススメ
【東京開催】
2020年1月29日(水)13:30~16:30
昨今ますます注目度が高まりつつある「健康経営」をテーマとしたイベントが1月29日に東京、2月5日に大阪で開催され、定員300名を超える企業の人事担当者が参加した。
本稿では1月29日のイベント概要と、丸井グループ(東京会場)、ロート製薬(大阪会場)の取り組み事例に関する講演内容をレポートする。
社員の健康が企業価値につながる
今回のイベントは、日本能率協会マネジメントセンターとルネサンスが共同開発したe ラーニングコンテンツのリリース記念として開催された。東京会場には230名の人事担当者が集まり、健康経営に関する関心の高さがうかがえた。
イベント冒頭では、日本能率協会マネジメントセンターが、健康と教育の力で社会課題解決につなげたいというコンテンツ開発の目的を語り、従業員の健康づくりや人材への投資、健康リテラシー教育の必要性について解説した。
リリースされたeラーニングコンテンツの監修を担当した特定非営利活動法人 健康経営研究会理事長/労働衛生コンサルタントの岡田邦夫氏は、「『健康経営』が企業と従業員にもたらす効果」をテーマに、健康と労働生産性に関する様々なデータを紹介。長年産業医を務めてきた立場から、健康リテラシーが身についていないことで高まる疾病リスクや、健康リテラシーとワークリテラシーの関係性、健康経営に取り組む意義などについて、詳しく解説した(詳細はP18、特集OPINION 1参照)。
さらに、企業における健康経営の取り組み事例として、丸井グループで2011年より産業医を務める執行役員/健康推進部長の小島玲子氏が、丸井グループの「ウェルネス経営」について講演(詳細はP43参照)。社内で実際に行われている施策や推進のポイント、その後の効果について発表した。
イベントの最後に行われたパネルディスカッションでは、イベントの登壇者たちとともにルネサンス健康経営企画部部長の樋口毅氏がモデレーターとして登壇。健康経営における経営者・管理監督者の役割や、組織や社員が取り組みを「自分ごと化」する方法、健康リテラシーの高め方といったテーマについて、各社の実例や経験に基づいた様々な意見交換を行った。
3時間のイベントを通して、健康経営に関心をもつ人材育成・教育担当者が、「社員が健康で豊かな生活を送りながら働くためにすべきこと」を真剣に考える機会となった。
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次ページより、企業事例に関する丸井グループとロート製薬の講演内容を詳解する。
全員が今よりもイキイキする会社に
産業医という仕事を通じて様々な企業を見るなかで、健康経営の取り組みについて次のような点に問題意識を感じていました。
● 保健師が保健指導の連絡をしても「忙しい」と断られる
● 病気のリスクで脅すだけでは、行動変容につながらない
●「 健康づくり教室」のような企画が単発的。参加するのは同じようなメンバーばかり
● 経営層も含めて誰もが「健康が大事」と言う割には、健康関連部門は企業活動の本筋から離れた位置づけになっている
● 健康部門の担当者(産業医・保健師含む)ばかりが躍起になっている
2011年に丸井グループに着任したときから、これらの課題に対してこれまでとは違ったアクションができないかと考えてきました。そこで健康経営においても重要だとあらためて実感したのが、丸井グループの経営課題です。当グループは、90年の歴史のなかで2度、赤字に転落したこともきっかけとなり、2005年から2010年にかけて「自ら考え自ら行動する」組織文化をつくるという経営課題にグループ全体で取り組んできました。健康経営においても、この経営課題とともに解決していこうと考えたのです。