J.H.倶楽部

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Learning Design 2020年03月刊

特集│CASE 3 ジャパネットホールディングス 全員を巻き込み、活動をしぼませないために “楽しみながら取り組める工夫”と “徹底したフォロー”が社員の健康の鍵

健康に対する意識の低い社員をどう巻き込むか」「一過性のイベントで終わらせず、いかに継続するか」。
健康経営に取り組む多くの企業が直面するこれらの課題を乗り越え、積極的な活動を展開するジャパネットホールディングス。
その背景には、決めたことを徹底的に追いかけるストイックさと、一体感をもって楽しみながら取り組む風土があった。

田中久美氏
ジャパネットホールディングス 人事本部 人事戦略部 シニアリーダー

株式会社ジャパネットホールディングス
1986年、長崎・佐世保でカメラ店として株式会社たかたが設立。
以後、ラジオショッピングにより通販事業を開始、94年よりテレビショッピング事業をスタートさせ、現在まで成長を続ける。企業理念は“「今を生きる楽しさ」を!”。
19年からは通信販売事業に並ぶ2つめの柱としてスポーツ・地域創生事業を掲げるなど社会貢献活動にも力を入れる。
資本金:1,000万円
連結売上高:2,034億円(2018年)
連結従業員数:約2,500名

[取材・文]=崎原 誠

「元気を発信する企業」でありたい

ジャパネットグループは2019年、「健康経営優良法人2019(ホワイト500)」に認定された。今回が初申請・初認定だが、従業員の健康を重視するようになったのは最近のことではない。

「認定を取得するために何かをしたわけではなく、当社がこれまでやってきたことがどう評価いただけるのか一度確認してみようと申請したところ、ありがたいことに認定をいただくことができました。創業者の髙田明は、ウォーキングシューズを販売しながら歩くことの大切さを熱く語り、お客様だけでなく、従業員にも健康の重要性を繰り返し説いてきました。2015年に社長に就任した髙田旭人も、正社員だけでなくコールセンターの契約社員やパート社員にも睡眠の大切さを学ぶ研修を行うなど、『ワクワクを発信する企業』として、従業員自身も健康であるべきだ、ととらえています」

人事本部人事戦略部シニアリーダーの田中久美氏は、自社の考え方についてこう説明する。

ただ、「健康が大切」という意識は根付いていたものの、従業員の健康増進を後押しする体制や制度・環境が整ってきたのは近年になってからだ。

「10~15年前は、たとえばカタログをつくる部署であれば入稿前は深夜まで作業することも当たり前でした。しかし、髙田旭人は、会社が大きくなっていくなか、皆が気持ちだけでついていくチームではなく、組織としての基盤を整えなければならないと考え、健康経営や働き方改革を進めてきました」(田中氏、以下同)

2018年には「ジャパネットグループは、全社員の心とからだの健康の実現と、世の中の健康増進に貢献するため、会社と社員が一体となって健康経営を推し進めることを宣言します」という「健康経営宣言」を公表。人事本部内に産業医や保健師を中心とした「健康開発室」を設置し、人事・総務と連携して、従業員の健康管理・健康増進に取り組んでいる。

担当部署が中心となり決めたことを徹底

同社の取り組み方の最大の特徴は、「決めたことを当たり前に、とことん追いかけていくやり方」だ。

残業時間の管理であれば、パソコン上で退勤の打刻をした時刻と職場を退出した時刻のログをチェックし、15分以上ズレがある場合は、その理由を人事が一つひとつ確認する。

健康診断で何らかの所見が見られた場合は、拠点の保健師が個別に声をかけ、二次検診の受診を強く勧める。同社は、全社の統括産業医に加え、各拠点に法定以上の産業医と保健師を配置し、しっかりとサポートできる体制を整えている。保健師も正社員であり、病気になった人への対応だけでなく、人事と一緒になって、制度や環境の改善にもかかわってもらう。

「普段から産業医や保健師の顔が見えるようにしているのも特徴で、社内イントラネットで親しみやすいコラムを発信し、健診後には、彼らが社員食堂にデスクを構えて相談に応じるなど、気軽に相談しやすい雰囲気づくりを心掛けています」

定期健康診断の受診率は100%。ストレスチェックについても、「必ず受けてください」「大事ですよ」と訴えることで、95%が受検している。

さらに、インフルエンザの予防接種を受けなかった人には、社内のアンケートフォームを活用して、なぜ受けなかったのかを確認する。そして、「一度もかかったことがないから自分は大丈夫」「子どもと一緒に別のところで受けている」といった理由を明らかにし、次回以降の改善に活かしている。

一人ひとり確認していくのは簡単なことではないが、同社では、健康増進の取り組みに限らず、決めたことを徹底することが大切だと考えられている。

「当社では、あらゆることについて報告が重視されています。社員食堂で提供を始めたタニタ食堂メニューがどれくらい出ているか、配布した歩数計の利用率がどれくらいかといったことも、トップに報告します。利用率が下火になると、『あまり使われていないならやめようか』と言われますので、担当部署としては気が抜けません」

楽しみながら取り組める工夫で健康意識・参加意欲をアップ

具体的な施策は、「楽しみながら健康を意識できる環境を整える」「未然に防ぐ」「いざという時に守る」の3つの軸で展開している(図1)。なかでも重視しているのが、「楽しみながら健康を意識できる環境を整える」だ。強制的にやらせるのではなく、楽しみながら参加できるように工夫し、参加者の主体性を引き出しながら活動を盛り上げている。多彩な施策があるが、特にユニークな2つを紹介しよう。

●「選択式研修」

契約社員を含む全社員が、週1回、勤務時間中に約2時間の研修を受講できるというもの。多彩なプログラムが用意されており、何を学ぶかは本人の自由だ。Excelの使い方のような業務に直結したものだけでなく、「子育てパパ・ママのフロー(心のもちよう)研修」「断捨離研修」など、各分野の専門家を招き、考え方をスイッチしたり、生活習慣を見直すヒントになるものも多い。

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