J.H.倶楽部

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Learning Design 2019年11月刊

特集│CASE3│ヒロテック タレントマネジメントシステムの導入・活用 “適正配置”で個を生かす

自動車部品の設計・製造等を行うヒロテックでは、現場の埋もれた人材を“ 見える化” するため、2017年にタレントマネジメントシステムを本格導入。
だれもが納得できる人事の意思決定と個々が100%能力を活かせる配置・環境づくりの実現のため、運用を進めている。

小西信博氏 ヒロテック 人材開発センター 部長代理

株式会社ヒロテック
1932年創業、1958年設立。
以後、自動車部品の設計・製作、金型、治具、組立ラインの設計・製作等を行う。
広島の本社のほか、国内に工場や研究所、国内外にグループ会社を展開し、世界各国へ自動車部品を納入するグローバルエンジニアリング企業。
資本金:1億円
売上高:798億円(2018年)

従業員数:1,948名(2019年4月現在)

[取材・文]=平林謙治

埋もれた人材を“見える化”

外需主導が色濃い日本の製造業にとって、海外で活躍できる“グローバル人材”の確保は喫緊の課題だが、現実はそう簡単ではない。

国内だけで1,800名の陣容を誇るヒロテックグループでも、7カ国12カ所に及ぶ海外拠点に出向して、現地スタッフをマネジメントできるだけの資質をもつ人材は少ないと、かつて経営陣は人選に苦しんだ。

しかし、それは「人材がいないのではなく、見えていなかっただけ」だと、人材開発センター部長代理の小西信博氏は振り返る。小西氏は、人材情報をデータベース化するタレントマネジメントシステムを同社に導入し、データ人事への変革を推進してきたキーパーソンだ。

「現場目線で見れば、有能な人材は組織内に大勢いるんですよ。しかし、会社が大きくなると上層部にはそれが見えにくくなるので、『いない』と誤解され、活躍の場も与えられないままくすぶってしまう。まさに埋もれた人材なんです。データを使ってそうした人材を“見える化”し、だれもが納得できる人事の意思決定につなげたい。それがタレントマネジメントシステムを入れた動機です」(小西氏、以下同)

強い思いには、訳がある。“埋もれた人材”とは他でもない、以前の小西氏自身の境遇に重なるからだ。

もともとは技術畑。グローバル人材輩出を目的として、2016年に設立された同センターへ異動するまで、20年以上ほぼ一貫して設計業務を担ってきた。設計といえば製図板で手書きが当たり前の時代から、いちはやくCADのスキルを独自に極め、部署全体の業務改革をリードした。技能五輪出場や専門書の執筆など、社の内外で数々の経歴を重ねたが、自身が望む職務・職位にはなかなか恵まれなかったという。

名前と顔が一致するメリット

ヒロテックでは以前から、人事・人材情報――社員個々の取得スキル、資格、教育研修や異動の履歴などを保存していたが、そのデータを人事給与システムと一体で管理していたため、公開が不可能な環境にあり、本人が確認することも、組織全体で共有することも難しかった。

「人事データは“宝の山”なのに、管理するだけで活用しないのはもったいない。そこで、経営層や管理職が利用できて、だれもがひと目でわかるように、あらゆる角度から人材を見える化するツールを探しました」

同社が比較検討の末に選んだのが「タレントパレット」というタレントマネジメントシステムだ。実際にデータを使ってどんなことができるのか、小西氏が興味深い活用事例を紹介してくれた。

「これはある部署に所属する社員の職位と年齢をマトリックス表示したものです(左ページ画像)。年齢が上がるほど職位も上がるのが普通ですから、平均的な分布パターンは右肩上がりの階段状になり、私はこれを『昇進の階段』とよんでいます。その階段より上に位置する社員は順調に昇進しているといえるわけですが、では、階段より下にいる人はどうなのかとデータを見てみると、ある社員は語学留学や米国拠点への出向も経験してきたグローバル人材候補であるにもかかわらず、職位はいまだ『班長』にとどまっていることがわかりました。語学力を買われて、ある海外クライアントの窓口業務を一手に担っていましたが、仕事が彼に属人化してしまったため、現場から外せなくなり、職位も据え置かれていたんです。経営の目にはもちろん届いていませんでした」

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