J.H.倶楽部

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Learning Design 2019年11月刊

特集│CASE2│セプテーニ・ホールディングス ベースにあるのは、“成長”を数値化した「人材育成の方程式」 AI型人事システムを開発 多様な場面で活用し社員を戦力化

セプテーニ・ホールディングスでは、20年以上前からデータの蓄積を進め、2011年より本格的にピープルアナリティクスに関する研究を開始。
成長を数値化したデータを基にAI 型人事システム「人材育成エンジンHaKaSe」を開発た。
人事施策のどのようなフェーズで活用しているのか、どのような効果が現れているのか、話を聞いた。


赤澤祥貴氏 セプテーニ・ホールディングス 人的資産研究所
清水大彰氏 セプテーニ・ホールディングス 人的資産研究所  

株式会社 セプテーニ・ホールディングス
インターネット広告を軸とした包括的なマーケティング支援サービスを提供する「ネットマーケティング事業」、マンガ配信サービスの運営をはじめとした「メディアコンテンツ事業」、「新規事業」という3つの柱を軸に、事業を展開する。
資本金:21億2,000万円
連結従業員数:1,441名(2018年9月末現在)

[取材・文]=中田正則

360度評価のデータを20年間蓄積

インターネット広告事業を軸にマーケティング支援サービスの提供などを行うセプテーニグループ。同社では、20 年以上前からデータの蓄積を進め、同社代表の佐藤光紀氏のアイデアからピープルアナリティクスに関する研究を開始し、様々な施策を進めてきた。その最たるものが「人材育成エンジンHaKaSe」の開発である。

「これは、どのような環境の下であれば、どれくらい人が成長するかを数値化したAI 型人事システムで、当社の人材育成の概念を表した『人材育成の方程式』< G(成長)= P(個性)× E(環境)[T(チーム)+ W(仕事)]>の考え方に基づいて設計されています。当社ではもともと360度評価を実施しており、そのデータの蓄積があったことが、HaKaSeの開発につながりました」

同社グループにおけるピープルアナリティクスの専門組織、セプテーニ・ホールディングス人的資産研究所の赤澤祥貴氏は、こう語る。

同社グループでは、360度評価で全従業員が上下に関係なく、1人あたり約20人を評価する。その結果は人事評価の参考資料のひとつにもなっており、スコアの信頼性が高かったことから、システムの開発につながった。

HaKaSeは、採用から配置・異動、適応、育成など、実に多様なフェーズで活用されている。その代表例を紹介しよう。

フェーズ❶ 採用入社後の活躍・定着を予測

応募者のエントリーや選考時のデータなどを使い、AIが入社後の活躍や定着、言わば同社との相性を分析して意思決定のサポートをしている。

「これまで当社で活躍してきた人材がどういうパーソナリティー(P)で、どのような経験をしてきたかというデータは、360度評価などを通じて蓄積されています。そのデータを基に活躍可能性を予測するAI(機械学習モデル)を構築し、応募者の活躍可能性を予測しています」(赤澤氏)

このAI の判断と人間の判断を組み合わせることにより、採用業務を効率化するとともに、活躍・定着の可能性がより高い人材を採用できるようになっている。

たとえば、採用選考の面接時に、データから算出した応募者の活躍や定着を予測するシートを出し、面接官がこれを参考にしながら、学生時代にどんな体験をしてきたかなど、より具体的な質問をすることで、再現性を確認するといった具合である。一般の採用選考では面接が得意な人が合格しやすいのに対して、こちらは面接の得手不得手に関係なく純粋に「セプテーニグループでの」活躍・定着の可能性を予測するため、採用競争力にもつながるという。

なお、方程式のP(個性)に当たるデータについては、FFS 理論 に基づくアセスメントを社内で実施し、そのデータも活用している。

2017年度の採用からは、AI 技術を活用して選考工程をすべてオンライン化した「オンライン・リクルーティング」を開始しており、この採用方法では選考にかかる工数を9割削減したという。選考が短縮された分、その後の内定者へのキャリア形成に向けた情報提供などに力を入れられるようになった()。

また、新卒に対してはこのシステムを2015年から導入しているが、導入後は、活躍や定着を示すスコアが改善してきている。

「年々当社における活躍や定着を示す定量的な指標が明確な改善を続けており、早期戦力化に少なからず寄与できていると判断しています」(赤澤氏)

なお、同社はピープルアナリティクスを社内に浸透させる際、導入前に体感型ワークショップや一部の部門でトライアルを行うなど段階的に進めている。また、採用活動への利用の際にも応募者向けにピープルアナリティクスならではの情報提供を積極的に実施するなど、対象者へのメリット提供を心掛けている。

「ピープルアナリティクスを導入するときには、社員や採用応募者など、対象側のメリットや、楽しみながらデータに触れてもらう体験づくりは非常に大事だと思います。たとえば、社員に対しては新人研修などの場でデータを体感し、自身の自己理解に資するワークを実施しています。また、採用応募者に対しては、選考の合否にかかわらず応募者のデータに基づいた選考のフィードバックや自己分析といった今後の就活に役立つ情報をお届けしており、ピープルアナリティクスを取り入れているからこそできるサービス提供を心掛けています」(人的資産研究所の清水大彰氏)
※ FFS(Five Factors & Stress)理論…株式会社ヒューマンロジック研究所が提供。人が意識的、無意識的に考え、行動するパターンを5因子とストレス値で計量することで、その人が保有している潜在的な強みを客観的に理解できる。

フェーズ❷ 適正配置チームと新人の相性を測定

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