連載 誌上コンサルティング 【第33回】 これからの経営者は どのような資質を養っていくべきか
Q.
当社にはここ2~ 3年で、経営陣に若手(40 代後半)が加わりました。担当部門においてはプロであり強いのですが、会社全体を考える経営者としてのバランス感覚が育つていません。経営者としての資質を養う方法をご教授いただければと思います。
また、次世代(30 ~35 歳)を担う経営陣を育成するため、選抜教育の実施を考えていますが、いままで「教育は一律に実施する」という企業風土のなかで「選抜」を浸透させるにはどのような方策があるでしょうか。社内スタッフがメニューのファシリデーターをするに当たってのポイント、または、外部コンサルタントなどに依頼する場合の注意点など、併せてアドバイスいただければ幸いです。
(機械・教育担当)
A.
日本の企業はいま、これまで経験したことのない厳しい経営環境下に置かれている。企業はこれからの時代に合う経営手法を身につけた経営者を必要としている。
しかし、経営者育成に関しては非常にお粗末な現状だ。そもそも「経営者を育てる」教育の必要性を、日本の企業は感じてこなかった。だから、課長研修などは実施しても、経営幹部候補の育成を社内で行ってきた企業はほとんどなかったといえるだろう。
私は大和証券の国際部で長く仕事をしてきたが、2000 年5月に「大和経営アカデミー」を発足させ、以来、大和證券グループにおける経営幹部候補者の研修に取り組んできた。金融界の状況が大きく変化するなかで、新しい時代に対応できる経営者の育成が大和証券グループにとって必須であるとの認識から、グループ各社の部長・支店長クラス、課長・次長クラスを対象にした研修を行っている(図表)。そこで「大和経営アカデミー」における私の経験から、今回のご質問にお答えしたい。
まず「経営者としての資質を養う方法」だが、経営者に求められる資質・能力とは何かを、最初に整理しておきたい。「大和経営アカデミー」では次の6点を非常に重視している。
①「自分で決める」ことができる
②全体最適の発想で考えられる