J.H.倶楽部

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Learning Design 2018年09月刊

気づきのエンタ MOVIE 人事に役立つ映画 職業意識を通し、 人生の「構え」を教える

人材開発担当者にご紹介したいエンタメ情報です。
仕事の合間の息抜きにぜひ!

『砂の器』
1974 年 日本
監督:野村 芳太郎





樋口尚文(ひぐち なおふみ)氏
佐賀県出身。映画評論家、映画監督。早稲田大学政治経済学部卒業後、電通に勤
務。30年にわたり会社員をしながら映画評論家、映画監督として活動。著書に『大
島渚のすべて』(2002年)他多数。
映画作品に『インターミッション』(2013年)、『葬式の名人』(2019年公開予定)など。

今夏、黒澤明作品をはじめ数々の名作を手がけ続けた脚本家の橋本忍が100歳で死去した。円熟期の橋本忍は独立プロダクションを興し、既存の映画会社ではなかなか実現が難しい、手のかかる大作を製作して、ヒットを呼んだものだった。その第一弾が、今も映画ファンの熱い支持を集める野村芳太郎監督の『砂の器』である。

言わず語らず伝える余白の大切さ

華々しい将来を嘱望された天才作曲家が、2人の刑事の綿密な捜査によって、その悲劇的な境遇、犯した罪を暴かれ、栄光の頂点で破滅する松本清張の長編ミステリーが原作である。

汗をかきかき地道な推理で犯人を追い詰めるのは、警視庁捜査一課のベテラン刑事・今西(丹波哲郎)と西蒲田署の若手刑事・吉村(森田健作)だが、今西が「犯人探したり獲ったりするわけじゃない調べ」と呼ぶ、地味な裏づけ捜査の旅が映画の大半を占めている。

したがって、本作で観客の印象に残るのは、追っかけのサスペンスではなく、むしろこの“弥次喜多”を決め込んだベテランと若手の刑事の親しめるやり取りである。やる気満々で猪突猛進型の吉村に、いぶし銀の円熟したプロである今西が、人生の機微や余白の大切さを、言わず語らずして教える雰囲気がとてもいい。

吉村がずっと「捜査上のメモ」と思っていたものに、道中を詠んだ俳句を綴っていたり、捜査が収穫なしに終わった東北で海岸に散歩に出かけて自然の美しさに耽溺したり、今西は常に飄々と人生の余白を大切にしている。

捜査のあてが外れてしょげている吉村に、「くよくよしたってしょうがないからビールでも飲もうか。俺がおごるよ」と声をかける、なんとも心優しい先輩でもある。

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