J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2017年10月号

OPINION2 左脳・右脳、それぞれの思考力を磨く! 個とチームで伸ばす 「考え抜く技」

問題を解決する方法には型があり、個人としてはもちろん、
組織として考え抜く力を磨くことが重要だと語る渡辺健介氏。
ロジカルシンキングやイノベーティブシンキングを国内企業で浸透させるためにはどんな姿勢や考え方、取り組みが有効なのか聞いた。


渡辺健介(わたなべ けんすけ)氏
デルタスタジオ 代表取締役社長

1999 年、イェール大学卒業(経済専攻)、マッキンゼー・アンド・カンパニー東京オフィスに入社。ハーバード・ビジネス・スクールに留学後、マッキンゼー・アンド・カンパニーニューヨークオフィスへ移籍。同社を退職後、デルタスタジオを設立(www.whatisyourdelta.com)。著書に『世界一やさしい問題解決の授業』『自分の答えのつくりかた―INDEPENDENT MIND』(共にダイヤモンド社)。

[取材・文]=佐藤鼓子 [写真]=編集部

難題の多い今こそ必要な力

考え抜く力は時代を問わず求められるものだが、グローバル競争が激化し、技術革新も著しい昨今では、ますます必須のスキルとなっている。単に従来の方法を踏襲していては生き残れないからだ。

そんな中、日本人が競争に勝ち続けるためには、勤勉さや協調性といった強みに加え、論理をつかさどる左脳、ひらめきなどを生む右脳をバランスよく使いながら、主体的に考える力を磨く必要がある。日本の教育制度は、最近ようやくアクティブラーニング(生徒が主体性を持って能動的に思考する参加型の学習)が注目されるようになってきたとはいえ、大学入試に代表されるように、まだまだ知識偏重型である。

答えのない問題に向き合い、解決策を導き出すためには、知識に加え、自分の頭で考え抜く力が不可欠だ。

私自身がこのことを痛感したのは、米国で過ごした高校生の頃だった。例えば、高校の歴史の授業ではキューバ危機や公民権運動について学んだが、映像や小説を題材に、何が起きたか、誰がどうするべきだったのかについて、多面的に議論したり文章にしたりした。

幼い頃から考え抜くトレーニングを重ねてきたクラスメートたちと机を並べたこの体験は、私にとってかなり刺激的なものだった。以来、自分の頭で考え抜き、行動することを心掛けるようになった。

真の「和」とは同ずることではない

知識偏重型の教育は、今後AI(人工知能)の活用が進むほど、意味を成さなくなる。機械には生み出せない価値を人が発揮しなければ、その労働力は必要とされなくなってしまう、という危機感が広がりつつある。

一方で、世界の教育関係者らの国際団体、ATC21sが定めた「21世紀型スキル」が広まるにつれて、日本でも問題解決力や批判的思考力がメディアで取り上げられ、一般的に重要性が理解されるようになってきた。

では、現代に求められる思考力とはどのような能力を指すのだろうか。

注意したいのは、ロジカルシンキングの手法を駆使し、相手を論破するだけでは、ただの“ディベーター”になってしまう、ということだ。相手の意見をうまく引き出しながら、建設的な議論を行うことが肝要だ。

しかし、これは決して簡単なことではない。日本の社会では往々にして、出る杭は打たれ、主張することが「我を通す」と受け取られる場合がある。物事を健全に批判する、違う立場から見るといったやり方が、「素直じゃない」と周囲から嫌がられることもある。

しかし、自分の仕事に対してプロフェッショナルであろうとするならば、必要とあれば“出る杭”になることを恐れず、一石を投じ、周囲を動かせる存在をめざすべきではないか。

聖徳太子の「十七条憲法」に「和を以て貴しとなす」とあるが、ここでいう「和」とは無批判に賛同することではなく、協調性を保ちながらも、主体性を失わずに建設的な議論を展開できることを意味する。現代社会で問われるのは、まさにこうした姿勢ではないだろうか。

論理的思考のための3手法

具体的にどうしたら論理的に思考を進めることができるのだろうか。誰でも役立てることのできる、3つのツールを紹介しよう。

1つめは、原因や対策を漏れなく具体的に考える「分解の木(ロジックツリー)」と呼ばれる手法だ(図1)。分解の木では、こんがらがった要素をひもとき、1つずつ列挙する。その際、直感で挙げていくだけでなく「他にはないか」「具体的には」という問いかけを行うことで、漏れなく具体的に要素を挙げていくことができる。

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