J.H.倶楽部

無断転載ならびに複製を禁じます。なお内容は取材・掲載当時の情報です。

月刊 人材教育 2017年08月号

おわりに シニアの活躍に不可欠なのは、 認める制度と本人・周囲の意識改革

シニア活躍のための3つの視点

「我々は、期待されていない」―。そう感じているシニアは、少なくない。「そんなことはない、シニアにも活躍してほしい」。企業やシニアの上司はそう答えるだろう。しかし、その期待を伝えるどころか、現状、シニアの雇用制度やシニアに対する周囲の態度は、「期待していない」というメッセージとなり、シニアに伝わっている。それでは、シニアが意欲的に働き、活躍することなど望めるはずがない。

シニアに活躍してもらうには、何が必要なのか。識者に話を聞くと、「仕組み・制度」「本人の意識」「組織の風土」という3つの視点から、意見が出てきた。一つずつ整理してみたい。

視点1:仕組み 頑張りを認め、必要とする仕組みを

・処遇に評価を反映させる

シニアの活躍にまず欠かせないのは、制度面の整備である。東京学芸大学の内田賢教授(OPINION1)はそのポイントを挙げるが、中でも重要なのは「評価」だろう。60 歳以降のシニアには、一律▲%、あるいは固定給のように給与を支払うケースが見られるが、これは「シニアに成果を期待していない」という表れだと捉えることもできる。人事考課を行い、頑張りを評価して処遇に反映させるというのは、意欲的に働いてもらうために不可欠なことだ。給与や賞与だけでなく、手当てや称号を与えるという方法もあるだろう。

・能力が活かせる仕事を任せる

シニアの長所や特性を活かした仕事や役割を任せるのも、活躍を促すポイントだ。管理業務や顧客対応、後進の指導といった仕事は経験や知識、スキルを存分に活かせる。特に後進に「仕事の作法」を教えられるのは、年齢・経験の重みを持つシニアだからこそ。シニアと若手をペアにする仕組みを取り入れている企業もある。

相談役もシニアならではの役割である。若手にとっては役職を降りた相手だからこそ相談できることもあるだろう。シニアが自然と相談役を担えば、職場の円滑化にもつながる。

・期待と役割を伝える

シニアの活躍を促すには、期待と役割の伝達も欠かせない。「あなたにはこういう役割を担ってほしい」と発信しなければ、シニアもどこまで踏み込めばいいのか分からず、遠慮してしまう。例えば60 歳手前で研修などを行いシニアのニーズや役割を伝えたり、シニア一人ひとりと頻繁にコミュニケーションをとることも大切だろう。

視点2:シニアの意識 新しい役割に対応する

シニアが活躍できるかどうかは、シニア自身の意識によるところが大きいと話すのは、学習院大学名誉教授の今野浩一郎氏(OPINION2)である。定年後も活躍しているシニアは、役割が変わったことをきちんと受け入れ、マインドの切り替えがうまくできているという。例えばこれまで部下にやらせていた資料作成や電話応対も自分でしなければならない。新たな役割に合わせた働く態度、行動、スキルを身につける必要があるのだ。

このようなシニアのマインド転換や新しい仕事への対応をサポートするため、企業にできることは、ライフプラン研修や「第2の新人教育」である。ライフプラン研修は、60 歳直前だけでなく、50 歳、55 歳など早い段階から計画的に行うとよいだろう。これは、将来に向けて必要なスキルに早めに気づかせ、手を打つ時間を与えることにもなる。第2の新人教育では、ITスキルや電話応対等の研修を改めて行う必要がある。

こちらはJ.H.倶楽部会員限定記事です。
ご入会後、続きをお読みいただけます。

残り:1,392文字

/

全文:2,783文字

【入会・年会費無料】

J.H.倶楽部は人事の仕事に役立つ特典が満載です!

  1. 総数2000本以上の人事の実務に役立つ記事(※)が閲覧可能
    ※専門誌『Learning Design』(旧『人材教育』)の記事
  2. 新サービス・お役立ち情報(調査報告書・ホワイトペーパーなど)の先行案内
  3. 会員限定セミナーへのご招待/講演動画・配布資料の閲覧
  4. 興味関心に沿った必読記事を、メールマガジンでお知らせ!