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続・書籍に学ぶビジネストレンド 第33回 2024年のスタートにあたり……Are you ready? 菊池健司氏 日本能率協会総合研究所 MDB事業本部 エグゼクティブフェロー

編集部より

目まぐるしい新年度が続くうちに、なんともう、1年の3分の1が間もなく終わろうとしています。
生きていると年々時間が加速する感覚になる方も多いのではないでしょうか。それが寂しいと思う一方、苦しい時期も気づけば過ぎ去っている……と思えば少し楽になるかもしれません。
間もなく大型連休ですが、ご予定はお決まりでしょうか。今回ピックアップするのは、2024年1-2月号より、人気連載「書籍に学ぶビジネストレンド」。年頭に読んでおきたい本を紹介していますが、学びは今からでも遅くないはず。2024年はまだ3分の2が残っていますから。連休中、本記事を参考に、普段は手に取らない分野の本を手に取ってみるのもいいかもしれません。

経営や人事を担う人にとって、ビジネストレンドの把握は欠かせない。
1日1冊の読書を20年以上続ける読書のプロが、ビジネスを読み解く書籍を紹介する。



2023年のベストセラーに見る時代感

2024年を迎えたが、それにしても時間の経過が速い。本年も有益なブックレビューをお届けできるよう精進していく所存である。

2023年12月、恒例のベストセラーランキングが公開された。まさに“時代感”の映し鏡だと思うので、ぜひ皆さんにもご覧いただきたい。

日本出版販売「年間ベストセラー」における総合第1位は『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』(小杉拓也著/ダイヤモンド社)であった。なるほど、タイトルが「タイパ」につながるし、暗算が現在も重視されている等、諸々気づきがある。

単行本ビジネス書部門を見てみると、2023年はひさびさに首位が入れ替わった。

見事、第1位に輝いたのは、『頭のいい人が話す前に考えていること』(安達裕哉著/ダイヤモンド社)。

第2位は前年まで3年連続第1位だったロング&ミリオンセラー『人は話し方が9割』(永松茂久著/すばる舎)。

話し方関連書籍が1位と2位。なるほど、これが今の時代感である。

ベスト10の顔触れを見て驚いたのは安藤広大氏の著書が3冊ランクインしていることだ。『とにかく仕組み化』『リーダーの仮面』『数値化の鬼』(いずれもダイヤモンド社)は次世代幹部育成の研修等でも人気があり、シリーズでのミリオンセラーは確実だ。ベストセラーになる「意味」は、やはり確実に存在する。もちろん著者が支持されていることは大きいが、ビジネス書においては、不透明な時代感に、優先的にカバーしていきたいスキルや領域がランキングにそのまま浮かび上がっているのだろう。

2024年年頭に読んでおきたい本とは?

今回は2024年のスタートにあたり、読んでおきたい本という視点で選書した。

① 抜群の目利きの視点が学べる書籍
② 壁を突破した思考回路が学べる書籍
③ 世界を代表するThinkersの視点が学べる書籍
④ 2024年がどうなるのか、知恵比べ視点で読める書籍

今年は「世界情勢の変化」「アフターコロナへの道筋」「DX・SX・GX対応の進化」等、ビジネス界にとっても大切な年。有益な書籍の数々が皆さんの「未来」を考えるきっかけとなればイチ書評家としてうれしく思う。

https://www.nippan.co.jp/wp-content/uploads/2023/11/2023nenkanbest_20231201.pdf


人生で読んでおいた方がいいビジネス書75冊

土井英司著/エムディエヌコーポレーション/2023年12月/1,870円

「ビジネスブックマラソン」編集長であり、日本を代表する書評家の土井氏による注目の新刊。2024年の初頭にあたり、本書はもちろん、紹介されている75冊すべてをお読みいただきたいと願う。プロの「目利きの視点」が学べる必読書。

東大教授が語り合う10の未来予測

瀧口 友里奈編著/大和書房/2023年11月/1,980円

対談形式の未来予測本。実にワクワクする未来を私たちに届けてくれる。全4章で展開されており、Part1から教授陣の刺激的な話題に引き込まれていく。「人間に能力をダウンロードする時代になる」としたら、 未来の人材は……。

外資系データサイエンティストの知的生産術 どこへ行っても通用する人になる超基本50

山本康正、松谷 恵著/東洋経済新報社/2023年12月/1,980円

世界の最先端企業が起用しているデータサイエンティストの思考についてまとめられた本書はベテランから新人に至るまで、「知っておきたい」考え方が満載だ。

スタートアップ芸人 お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話

森 武司著/ダイヤモンド社/2023年12月/1,650円

著者が起業したFIDIAは18年連続で増収増益を続けている未上場企業。元芸人という肩書がクローズアップされがちだが、「仲間力アップ㊙マニュアル」による「仲間力」を活かした事業成長の道筋は、 多くの企業にとって参考になる。

THINK BIGGER 「最高の発想」を生む方法

シーナ・アイエンガー著/NewsPicksパブリッシング/2023年11月/2,420円

経営思想界のノーベル賞「Thinkers50」に4度選出された、『選択の科学』の著者による13年ぶりとなる注目の新刊 。「もっと大きく考える、大胆に発想する」ための手法が6つのステップに沿って、順序立てて説明されている。

ヒューマノクラシー 「人」が中心の組織をつくる

ゲイリー・ハメル、ミケーレ・ザニーニ著/英治出版/2023年12月/2,750円

数々の経営書のベストセラーを世に送り出した著者による新刊。ニューコアやハイアールをはじめ、大企業の変革事例も豊富。「経営思想の巨人」による「人」中心の組織、 21世紀のマネジメントとは。

BCGが読む経営の論点2024

ボストン コンサルティング グループ編/日経 BP/2023年11月/1,980円

世界情勢の変化において、 不透明感は増すばかりだが、BCGによる本書では、 8つの重要キーワードを示しながら、2024年の論点を明らかにしている。全章興味深いが、読者の皆さんにはChapter8の人材戦略に注目いただきたい。

A.T. カーニー 業界別経営アジェンダ 2024

A.T. カーニー編/日経 BP 日本経済新聞出版/2023年11月/2,200円

14の産業、7の業界横断テーマ、計21テーマについてA.T. カーニーの論考が展開されている。なぜこの産業が選ばれているのか、 そして横断テーマにおいてもM&Aや組織変革等の見逃せないテーマが並ぶ。年頭に目を通しておきたい1冊。


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