第20回 不健康な社員の扱い方 藤原英理氏 あおば社会保険労務士法人 代表
働く人の価値観の多様化から「働き方」も変化し、現場の管理職の悩みも“イマドキ”なものになってきています。
そんなイマドキな悩みの解決方法を、社労士の藤原先生が紹介します。
第20回 不健康な社員の扱い方
部下の1人が、どうも体調がよくなさそうだ。もともと肥満体型ではあるが、さらに太って顔色もよくない。夜遅くまで飲み歩いているのが原因のようだ。会社は“健康経営”をうたっており、残業も減らす取り組みをしているが、本人は生活習慣を改める様子もない。どうすればいいだろうか。
健康管理は誰の責任?
一般論として、個人の生活習慣や健康状態は、その個人が責任を持って管理するものであり、従業員には職務が遂行できる状態で出勤する義務があります。
一方、会社は職場の安全に配慮する義務があり、健康状態に不安のある従業員であっても安全に働けるような職場にする必要があります。例えば、明らかに体調の悪い従業員に肉体的に負荷のかかる仕事をさせたことにより事故が発生した場合には、会社側の責任が問われます。
また、そうした事故がなくても、従業員側が「仕事のストレスで飲み過ぎて、不健康になってしまった」という主張をしてくるケースもあります。これは一見、本人の責任のように思えます。しかし、全くストレスのない職場というのは考えられないので、本人ばかりの責任とも言い切れません。
特に、ある程度の残業をさせている場合には、会社側の責任が認定されるケースもあります。