巻頭インタビュー 私の人材教育論 個の尊重と自主性こそ 成長の原動力
メタウォーターは、水と環境に関するトータルソリューションの提供をめざす企業である。
上下水道施設の設計・建設から、完成後の運転・維持管理などまで、幅広く受け持つ。
さらに自治体が担っている水道事業が民間に委託される時代が近づいているが、そこでは従来求められた専門性に加え、「総合力」も求められる。
新たな時代を前に、同社では社員に何を求め、どのようなサポートを行っているのか、木田友康社長に聞いた。
2つの事業領域
―「水と環境のトータルソリューションカンパニー」ということですが、事業領域はどんな分野なのでしょうか。
木田
大きく2つあります。1つが上下水道施設やごみ処理施設などのプラントの設計・建設というエンジニアリング事業、もう1つが、その施設の運転・維持管理といったサービスソリューション事業です。直近の年度決算では、売上ベースでエンジニアリング事業が6割、サービスソリューション事業が4割です。さらに近年は、設計・建設から運転・維持管理までを包括的かつ長期的に官民で連携して手がけていく案件も増えてきており、そういった分野でも、業界トップクラスの実績があります。
―今後、両者の比重は変わっていきそうでしょうか。
木田
プラントの新設は一巡しましたが、これからは更新需要があり、エンジニアリング事業は安定して推移すると見込んでいます。
他方、運転や維持管理といったサービスソリューション事業は成長分野と位置づけています。「コンセッション」といって、自治体等が担ってきた公共施設の運営権を民間に移管する動きが本格化しつつあります。当社としても、培ってきたノウハウと専門性を生かし、本格参入したいと考えています。―民間企業に水道が任される時代が来るのですね。
木田
キーワードの1つは「広域化」です。県や市町村が、単独ではなく複数で上下水道を利用・維持管理するといったイメージです。そうすることで設備の重複が省け、維持管理の一元化で省力化に貢献できます。すでに効率的な一元管理を可能にするICTクラウド型のプラットフォームも開発導入しています。
専門性と「総合力」を
―すると、機械や電気を専門に学んだ理系のスペシャリスト人材を求めておられるのでしょうか。
木田
一面ではそうです。特にエンジニアリング事業では、機械に加えて受変電や監視制御のための電気の知識・経験が必要です。当社の基幹事業ともいえ、この高度な専門性は、今後とも受け継いでいかなければなりません。
一方で、上下水道の運営、運転・維持管理というサービスソリューション事業の拡大を視野に入れた時、会社としても新たな人材像を追究しなければなりません。従来の専門性に加え、コミュニケーション力や調整能力などの「総合力」を備える人材、とでもいいましょうか。
―総合力とは、具体的にはどのようなものでしょう。
木田
上下水道事業は公共性の高いものです。採算が合わないからと安易にサービスを止めたりはできません。加えて、周辺環境への配慮や経済合理性の追求が必要です。そのため、自治体の担当者はもとより、各地域のユーザーや利害関係者の間を飛び回り、根気強く調整をする力が求められるのです。
その際、先述した専門性がベースになければなりません。例えば減価償却期間が満了するので水道設備を換えるかどうかという時に、現実的な耐用性や工事にまつわる諸事情を知っておかなければ話になりません。