Part 2 ケース NTT労働組合コミュニケーションズ本部 労使共同で総労働時間削減に着手。 働き方、暮らし方を見つめ直す契機に
労働時間の問題は、賃金と並んで労働条件を左右する主要課題。当然、労働組合としても総労働時間短縮をスローガンに多様な取り組みを重ねてきたわけだが、昨今進展している構造改革のなかで不払い残業(サービス残業)の問題が改めてクローズアップされるようになっている。今回は、「WORK-LIFE委員会」を立ち上げ、労使共同で総労働時間短縮に取り組むケースとして、NTT労働組合コミュニケーションズ本部の活動を紹介したい。
労働時間は構造的な問題。中長期的視点で生産性を向上
NTT 労働組合コミュニケーションズ本部( 以下、コミュニケーションズ本部) が「WORK-LIFE 委員会」を設置し、総労働時間短縮の取り組みをスタートさせたのは2003 年春闘後。 2003年春闘では、NTT グループ全体で労働時間短縮に向けて努力していく旨の労使合意が図られた。それを受け、総労働時間1,800 時間台への達成、同時に不払い残業の撲滅などを目的にした「WORK-LIFE 委員会」をコミュニケーションズ労使で立ち上げることになった。
かつての大量生産・大量消費型の生産システムが終焉しか今日、働く人々が共通のラインで同じ仕事に携わるという形の働き方は少なくなっている。少数精鋭の業務運営体制では、仕事の裁量が個々人にゆだねられることが多く、情報通信分野における厳しい競争環境のなかで、着実に成果を上げるために個々人が自らの労働時間を長期化させ、自らの負荷を増大させることによって生産性を高めようとする傾向が顕著になっている。
とりわけ、成果主義、能力主義が浸透するなかで、短期間で成果を顕在化させようという意識が強まっており、長時間勤務は常態化。その無理が蓄積することで心身の支障をきたし、中長期的には必ずしも生産性の向上につながらないという矛盾した状況を生み出しているのである。
「WORK-LIFE 委員会」では、3年間をメドに総労働時間を1,800時間台にすることを目標に掲げており、ステップ1 で「不払い残業の撲滅」、ステップ2で「時間外労働の分析ムそしてステップ3で「総労働時間の短縮」を実現する意向だ(図表)。
もっとも、コミュニケーションズ本部によれば3年、あるいは1,800 時間という数字を目標に置き取り組むが、時間外労働の増大を招いている構造そのものを変革することに重きを置いている。つまり、業務の平準化やワークシェアリングなど業務マネジメント面からの対策を講じていくこと、さらには、管理者や組合員の意識改革や企業風土の改革を志向することで、結果として総労働時間短縮を実現しようと考えているのである。