CASE NTT コミュニケーションズ 変化への柔軟な対応を目指し 人事・給与システムを刷新

NTT コミュニケーションズは、NTT グループで共同利用してきた旧システムの老朽化による廃止が決定したのを機に、グループ共用システムとは別に独自の人事・給与システムを導入することを決定。ピープルソフトのパッケージを採用し、わずか10 カ月という短期間で、変化に柔軟なシステム構築に成功している。
初めて独自の人事・給与システムを構築
1999 年のNTT 再編により、国際通信を含めた長距離通信の分野を担う事業体として発足したNTT コミュニケーションズ。グローバル化や法改正、技術革新など経営環境が大きく変化するなかで、ソリューション・ユビキタス・セキュリティ・グローバルを軸にグローバルIP ソリューションを推進、それに伴い独自の人事制度を整備してきた。
会社発足以来、人事給与システムはNTT グループ共有のシステムを利用してきたが、システムの老朽化に伴い、02年9月以降使用できなくなることが明らかになった。旧システムに代わるグループ共有の新たなシステムを利用することもできたが、同社には国際部門における海外給や、専門家のスカウト採用(年俸制のG&P〈グローバル&プロフェッショナル〉社員)など、他のグループ企業にはない独自の人事給与体系が存在する。また、今後も制度を変更していく可能性があることから、変更への対応が柔軟にできる独自の人事・給与システムを構築することを決定した。
システム構築のプロジェクトがスタートしたのは01 年11 月。システム構築の開発側プロジェクトマネジャーを務めたシステムエンジニアリング部システムソリューション部門ERM 担当課長の明円和弘氏は、システムの選定について次のように語る。
「稼動まで1 年を切っていましたので、短期間での大規模基幹業務システム構築を実現させるために、ERPが有効でした。一からスクラッチでシステムを構築することに比べて、ERPパッケージは標準機能の制約がありますが、ユーザーの要求を盛り込める柔軟なものであれば、短期間かつ必要機能が組み込まれたシステム構築が可能です。そこで、標準機能をベースに、必要な部分は自分たちで開発や変更が柔軟にできる、開発生産性の高いピープルソフトが採用されたのです」
従来のシステムは人事情報システム、給与計算システム、退職手当システム、申請系システム等々が独立していたため、給与計算や帳票の発行などを行うたび業務ごとに情報の整合性を取るための重複メンテをする必要があった。そこで、新システムでは人事・給与システムを統合することにより、重複メンテやシステム間データ接続を解消し、柔軟性と低コスト化の実現を目指した。また、NTT コミュニケーションズ独自の制度のため未対応だったG&P 制度等も併せて対応できるようにする目的があった。