連載 新しきは足下にあり 第19 回 法然が説く新企業モデル

念仏申さるるように生きよ

21世紀になって、急速に企業そのもの自体の根本的な変革が要求されています。
それは最早、西洋科学思想一点張りの弥縫策(びほうさく)的対処では、社会や人間にとって真に不可欠で有用な存在としての企業像を構想することが、難しいことを表わしています。
浄土宗の開祖法然上人の言葉に、「念仏申さるるように生きよ」というものがあります。
その意味するところは、念仏が説いているところを求めて、ひたすら念仏を上げることに徹して生きよ、ということです。
人間はなぜ生きているのかといえば、それは心の平安を求めているのであり、そうした不動の境地に安住することこそが究極の目標と説いているのです。
世俗的な願望である富貴は、否定されるべきものではありません。しかし、これが究極の目標かといえば、それはそうではありません。なぜなら、この目標には究極がないからです。さらにもっと、さらにもっとと、欲は限りなく貪欲に、さらにもっと多くと要求するものです。
つまりこの目標には絶対的な満足感などがなく、常に不満を抱き続け、したがって心は揺らぎ続けて安定しません。心の平安という不動の境地からは、ほど遠いといわざるを得ません。