連載 部下育成の新キーワード 関係性アプローチ 第3 回 現状分析編 部下育成における日米の違いと共通点
起点から関係性へ
困っている部下を援助し、さらに部下が今後成長していくためにサポートする「部下起点」である日本型部下育成は、植物を育てる際に添え木をするような育成の仕方である。一方、自分自身のリーダーシップ発揮のために部下をサポートする「上司起点」である米国型部下育成は、誰がボスかをわからせ、従わせる動物のしつけのようである。
上司が自分自身の業績発揮や能力開発を志向しつつ、同時に部下を育てていくことは困難度が高いものである。「部下起点」を推し進めすぎると、自分がない、甘やかしているなどとみられるし、「上司起点」を推し進めすぎると、身勝手だ、部下を道具化しているなどと捉えられる。
実は、起点がどちらなのかが重要ではない。上司、部下双方が起点であり、また相手の働きかけを受け止める終点でもある。部下を育てようと奮闘する上司も、部下と接するなかで自己の成長の糧となるような刺激を受けるであろうし、上司に指導されながら部下は成長し、さらに同時に、上司へ何かしらの貢献をしていくのである。