連載 研修ファシリテーター入門誌上講座 第15 回 講義方法の工夫
前回は、講義を印象的にするために、コンテンツ(内容)サイドからアプローチしたが、今回はデリバリー(伝え方)の工夫について考えてみたい。
なくて七癖
講師の立ち方、身ぶり手ぶり、発声、滑舌など、ステージ上の所作が、レクチャーの内容以上に、研修参加者に影響を与える場合があります。うつむきっぱなしで講義ノートを見たまま、などというのは論外として、講師自身が気づかない癖が、参加者の学習意欲を低下させることもあるのです。
あるベテランの男性講師で、ボールペンを持って、かちゃかちゃとクリックする癖のある人がいました。参加者としては、話を聴こうにも、クリックする音が気になって集中できません。ところが本人は、何年も(!)気づいていないのです。
緊張のレベルが高くなると、手足など抹消の毛細血管の血流が悪くなります。人体というのは、非常に精妙にできていて、手足が冷えたなと感じると、反射神経レベルで、勝手に筋肉を振るわせて、指先まで血液を送り込もうとしているのですね。
足の貧乏ゆすりも同じ理屈と考えられますが、講師でも、参加者でも、緊張している時に、こうした身体反応が現れるようです。
という話を、私が、研修の中でする時には、会場の中に、かちゃかちゃと音を立てている参加者がいる場合です。本人は、ただでさえ緊張したり、居心地の悪さを感じているわけですから、講師から直接、注意をされたら、かえって畏縮してしまうかもしれません。