企業事例 エヌ・ティ・ティ・データCCS 希望に沿ったキャリア構築が信頼を生み 社員の自発的成長を促す
急速に高度化・細分化が進むIT業界。
システムエンジニアが社員の9割を占めるNTTデータCCSでは、仕事への熱意が高い学生を採用し、内定期から入社5年めまでの間に、本人の望むキャリアに合わせた人材育成を行っている。
社員のキャリアパスを念頭に置いたキャリア開発支援は、真に企業にとって必要な人材のリテンションへとつながっている。
社員は資産だから人材開発は最重要課題
IT業界の採用担当者たちは今、「人材の二極化」という現実に直面している。採用するなら、大学の情報学部などで専門知識を身につけた学生か、あるいはまったくの門外漢か――。業務がハードなIT業界は「3K職場」と囁かれ、条件の揃った新人をなかなか採れないのが昨今の現実だ。
そこで、注目されているのがキャリア開発の重要性である。教育次第では、文科系出身者でも有能なエンジニアに成長する可能性は大いにある。
また人材流動化が進むIT業界では、キャリアアップが技術者たちの最大の関心事。能力開発に真摯に取り組む企業に人気が集まりがちだ。
こうした企業の中でも、先駆的な開発を手がける会社がある。情報システム企業、NTTデータCCSだ。
同社はビジネスアプリケーション、環境関連システム、携帯電話などへの組込型システムなどの開発を通し、ソリューション事業を幅広く展開している。新日鉱ホールディングスが100%出資する情報システム子会社だったが、4月よりNTTデータが株式の60%を新日鉱HDから譲り受けた。
社員の9割以上を技術者が占める文字通りの「SE集団」ということもあって、ヒューマンリソース部人事グループマネージャの高橋敏氏はこう言い切る。「我々の唯一の資産は彼らSEたち。キャリア開発は最重要課題です」。果たして、その取り組みとはどんなものなのだろうか。
文科系出身者も一人前の技術者に
「当社のキャリア開発は採用時からスタートします。まず、エントリーした学生、説明会に参加した学生全員を対象に一時面接を実施。足切りは一切しません。エントリーシートのデータから、学生のやる気度を測るのは難しいからです。そこで実際に顔を合わせ、仕事への熱意がどれほどのものかを探るのです。
専門知識はもちろん大事ですが、それ以上に重要なのはモチベーションの高さです。情報技術の発展は日進月歩。新しい知識を貪欲に学び、仕事に生かす姿勢が本人になければ、育成は不可能ですから」(高橋氏、以下同)
他のIT企業の例に漏れず、同社も文科系出身の未経験者が、新卒採用のほぼ半数を占めるという。だからこそ、人材開発には手を抜けない。実際に新人たちはどのような教育を受けているのか――。内定後の流れを紹介しよう(図表1)。