J.H.倶楽部

無断転載ならびに複製を禁じます。なお内容は取材・掲載当時の情報です。

月刊 人材教育 2016年12月号

おわりに “気の持ちよう”を マネジメントする習慣を身につける

今、求められる技術とは

変化が大きく、先行きが見えない不透明な時代に突入している。職場の人や環境の多様化も進み、不安やストレスを抱える局面も増えてくるだろう。そんな状況でも、動じることなく自分の力を発揮し、成長していくために、求められるものは何か。

それは、自分の気の持ちようを自身でマネジメントし、ネガティブな感情を自らの成長につながるような感情へとコントロールしていく技術である。例えばイラっとしても、感情的にならずに冷静に自分の要望を相手に伝えたり、心が折れてしまいそうな困難にもしなやかに対応したり、誘惑に負けず、自分の目標に向かって辛抱強く努力したり。このようなスキルを持ち合わせていれば、意欲的に仕事にチャレンジし、自分を高めていくことができるはずだ。

今特集では、これを「我慢する技術」と定義し、具体的に「アンガーマネジメント」「レジリエンス」「意志力」について、具体的な内容を紹介してきた。そのポイントをおさらいしよう。

「怒り」と向き合う

「アンガーマネジメント」とは、怒る必要があれば上手に怒り、そうでない場合は怒らずに済ませる技術である。日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介氏によれば、怒りをコントロールするにはコツがあるという(OPINION1、22 ページ)。

1つめは、6秒待つこと。深呼吸をしたり、意識的に好きなことをイメージするなどして6秒だけ怒りから気持ちを遠ざけることができれば、自分を客観視することができ、感情的にならずに済む。2つめは、「アンガーログ」を記録すること。自分がどんな場面でどの程度怒りを感じたのかメモしておくと、自分の怒りやすいパターンを把握でき、この時は怒る必要がなかった、などと振り返る材料になる。

一方、本当に怒る必要がある場合、“上手に”怒るコツは、相手に対するリクエストは何かを明確に伝えること。「ちゃんと」「しっかり」という曖昧な言葉を避け、具体的な言葉で要求を伝えることがポイントだ。結果と行為、振る舞いについては怒ってもOKだが、性格、人格、能力について怒るのはNGということも意識したい。

このようなアンガーマネジメントを企業研修に導入しているのが、野村證券である(CASE1、36 ページ)。もともと上司が人前で部下を叱責するような「パワハラ」の予防のために導入した。同社では、自社で起こりがちな場面を映像化するなど、社員が身近に感じられる研修を実施し、「怒りはコントロールできる」という社員の認識につなげている。

「逆境」に対応する

レジリエンスについて、ポジティブサイコロジースクール代表の久世浩司氏は、「ストレスにしなやかに適応し、心の傷になるようなダメージを負わず速やかに回復する力」だと説明する(OPINION2、26 ページ)。

そのスキルを鍛えるためにまず必要なのは、「状況や物事の捉え方を変えること」と「気晴らしの習慣を身につけること」だ。人は、物事に対して“思い込み”を持ってしまうと、不安や怒り、悲しみや罪悪感といったネガティブな感情から回復できない。したがって自分の「思い込みのクセ」を知り、そのうえで運動や音楽など、自分なりの気晴らしの方法を見つけることが有効だ。

次に必要なのは、「心理的資源」を増やしていくことである。中でも特に久世氏が薦めるのは、何かあった時にサポートをしてくれる「社会的支援」の形成だ。会社内であれば上司や同僚よりも、部署も世代も違う斜めの関係のサポーターをつくることが効果的である。このような関係の形成は、メンター制度や社内イベントの実施などにより、企業として手助けをすることも可能だろう。

こちらはJ.H.倶楽部会員限定記事です。
ご入会後、続きをお読みいただけます。

残り:1,483文字

/

全文:2,966文字

【入会・年会費無料】

J.H.倶楽部は人事の仕事に役立つ特典が満載です!

  1. 総数2000本以上の人事の実務に役立つ記事(※)が閲覧可能
    ※専門誌『Learning Design』(旧『人材教育』)の記事
  2. 新サービス・お役立ち情報(調査報告書・ホワイトペーパーなど)の先行案内
  3. 会員限定セミナーへのご招待/講演動画・配布資料の閲覧
  4. 興味関心に沿った必読記事を、メールマガジンでお知らせ!