J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2016年09月号

Trend 2 米国リーダーシップ専門教育・研究機関CCLの グループ・リーダーシップモデル「DAC」

昨今のビジネス環境で勝ち抜いていくためには、組織のトップや役職者だけがリーダーシップを発揮するのではなく、組織のメンバー全員がリーダーシップを発揮して動く必要がある。
しかし、複数人でリーダーシップを発揮するとは、どういうことなのか。
どうしたらよりよい成果をもたらすことができるのか―。
それらについて、米国のリーダーシップ専門教育・研究機関CCL(Center forCreative Leadership)が提唱するフレームワークから学ぶことができる。


シンシア・マッコーレイ氏CCL(Center for Creative Leadership)
上席研究員

CCL(Center for Creative Leadership)上席研究員。研究活動、出版物発行、教育プログラムの設計などを通じ、組織におけるリーダーシップ開発に長年活動的に貢献。リーダーシップ開発につながる経験学習の分野における世界的な第一人者。ジョージア大学にて産業組織心理学Ph.D.取得。共著に『リーダーシップ開発ハンドブック』(白桃書房)。共著・新刊に『経験学習によるリーダーシップ開発』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

[取材・文]=堀尾志保・小菅 啓・永國幹生(JMAM) [写真]=永國幹生撮影

グループで発揮する時代

現在の経営環境は複雑であり、ビジネスの進展や問題解決の際の“正解”が不透明だ。カリスマ経営者や役職者のリーダーシップだけで成果を出し続けることはできない時代である。

こうした時代背景を受け、私が所属するCCLが提唱するリーダーシップのフレームワークも、10 年前と比べ、どんどん進化している。以前は、主として個々のリーダーの行動による影響に着目していたが、最近は、グループ全体でリーダーシップを発揮するためのより広範なフレームワークを提示するようになっている。

「DAC」フレームワーク

それが図1の「DAC」だ。グループ・リーダーシップが効果的に発揮されると、次の3つの“プロセス成果(リーダーシップアウトカム)”を生み出す。そして、この3つは、最終的なビジネスの成果に大きく影響することが分かっている(図1の右側)。

①Direction(方向性の明確さ)

②Alignment(グループ内の連携の強さ)

③ Commitment(グループ活動へのコミットメント)

よって、これらDACのレベルを確認することで、グループ・リーダーシップがうまく機能しているかを確認することができる。

DACをもたらす起点として、まず人の側面に目を向けると、メンバーそれぞれの信念・価値観、関係性、組織構造が、グループのリーダーシッププロセスに影響を及ぼす(図1の中段から左上への矢印部分)。

それぞれの価値観や関係性が統合され、うまくグループ全体の「リーダーシッププロセス」が機能すれば、プロセス成果がもたらされる(図1 の中央から右上部分)。

しかし、最終的な成果は、リーダーシップ以外の、市場動向や戦略などからも影響を受けることも忘れてはならない(図1の右下からの矢印部分)。

“権限”とリーダーシップ

「リーダーシップ」と聞くと、つい経営者や役職者を思い浮かべがちだが、グループ全体で集合的なリーダーシップを発揮する際には、プロセスの有効性は、役職者のような公式なリーダーによっても、また役職を持たないリーダーによっても影響を受け得るのである。しいて言えば、役職者のような公式なリーダーは、他のメンバー以上に、グループ・リーダーシップが発揮される「環境づくり」に尽力する必要がある。

すなわち、「成果を出すために、メンバー全員が自由にアイデアを出し合うことがグループの成果につながる」と理解したうえで、実際に自由に発言できる雰囲気を自ら率先して醸成していくことが重要となる。

また、公式なリーダーは、他のグループメンバー以上に、最終成果やDACのレベルに注意を払い、 グループとしてのDACを高いレベルで維持するための動きが期待される。

活性化のための3ステップ

グループ・リーダーシップを活性化するには、次の3ステップを踏むことが有効である。

STEP1:現時点のグループのDACレベルをアセスメントする

STEP2:うまくいっていない部分の原因を特定する

STEP3:DACレベルを改善するための方法を検討する

■STEP1:DACアセスメント

最初に、図2のチェックリストで、メンバー全員がグループのDACレベルを評価する(複数の階層の人が混ざる場合は、匿名で実施すると、より実態に近いアセスメントをすることができる)。

そして結果を集計したら、DACのどの部分が低いかを皆で確認する。この時、自由に意見を述べることを奨励するが、事前にグランドルールとして、「自分以外の他者について、『あなたはもっと○○すべき』などと発言しないように」と伝えておく。

DACそれぞれについて重要なことは以下の通りだ。

Direction(方向性)

方向性が示されているだけでなく、皆がそれに賛同していること

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