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月刊 人材教育 2016年08月号

組織と個人の問題に効く! 心理学ミニゼミナール 第11回 プリコミットメント

心理学の理論は、人事・人材開発の仕事にとって重要な手がかりです。
そこで、“使える”知見を、心理学ジャーナリストの佐々木正悟氏が解説します。

佐々木 正悟(ささき しょうご)氏 心理学ジャーナリスト
1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに勤務。2001年以降アヴィラ大学心理学科、ネバダ州立大学リノ校実験心理科博士課程で心理学を学び、2005年に帰国、現在に至る。近著は『すぐやる人に変わる 心理学フレームワーク』(実業之日本社)。

第11回プリコミットメント

将来の魅力か、目先の得か

世の中には、1年後にもらえる1万円よりも、今日もらえる8000円のほうを好む人が多いということは、何となくお分かりでしょう。私たちは、「今、○○しておいたほうが、長い目で見れば得をする」と分かっていても、目先の魅力的なものにとらわれて、なかなかそうはできないものです。老後に備えよう、夏に向けてダイエットをしよう、と決心しても、衝動買いしたり、目の前のチョコドーナツを食べたりしてしまいます。

遠い将来の「魅力」は、遠いだけに色あせて、近い魅力に負けてしまいがちなのです。

苦痛も色あせる?

「魅力」とは逆の「苦痛」では、どうでしょうか。

いくらランニングが健康づくりに有効だとはいえ、「今すぐ走り出せ」と言われたら、大抵の人は「できない」と思うでしょう。「本日中」も難しいかもしれません。しかし、1カ月後からならば、少しできそうな気がしませんか。

アメリカの推理作家レックス・スタウトの『ロデオ殺人事件』にこういうくだりがあります。

「目覚まし時計がやっかいなのは、セットした時にはこの時刻で良いと思っても、鳴り出した時にはとんでもない時刻だと感じることだ」

つまり、「魅力」と同じように、「将来の苦痛」も、(辛さが捉えられず“)色あせて”少し楽そうに見えます。数カ月前には理想的で、できそうと思えたランニングの計画も、いざ走り出す日が迫ると、気が変わって「今日の苦痛」―ただの辛い日課に思えるものなのです。

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