J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2016年03月号

業界別育成課題とポイント 鍵はスーパーバイザーや 外国人材の育成・活用

業界・業態によって、必要とされる能力や専門知識とその教え方は異なる。
その違いを紹介する連載の第1回目は、多種多様な業種・業態の企業が加盟する日本フランチャイズチェーン協会に、人材育成の取り組みについて聞いた。

伊藤廣幸氏 日本フランチャイズチェーン協会 専務理事

第1回取材団体
一般社団法人 日本フランチャイズチェーン協会(JFA)
1972 年、フランチャイズ・システムの健全な発展を図ることを目的に設立。会員は、フランチャイズビジネスを運営する日本の代表的なフランチャイザー、及びフランチャイズビジネスに関心を持ち、同協会の趣旨に賛同する企業によって構成される。
会員数:453 団体(正会員、準会員、研究会員、賛助会員含む・2016 年1月現在)


[取材・文]木村美幸  [写真]編集部

育成ノウハウを個社が持つ

コンビニ、飲食店から不動産仲介店舗に至るまで、フランチャイズチェーン店の業種はさまざまで、誰もが日常的に利用している。

直営店とフランチャイズ経営の店舗では、そもそも何が違うのだろうか。日本フランチャイズチェーン協会(JFA、以下同)専務理事の伊藤廣幸氏はこう語る。

「店舗の外見からは区別がつきませんが、チェーン店の事業形態には直営とフランチャイズの2つのタイプがあります(図1)。“直営”は本部も店舗も同一の会社で、その組織はピラミッド構造。たとえ店舗数が数百を超えても、トップからの指示命令は全ての店舗に届きます。

一方、“フランチャイズ”の場合、本部企業と加盟店(店舗)はそれぞれ独立した事業者であり、対等なビジネスパートナーです」

フランチャイズ契約は、その商売を開発した本部企業(フランチャイザー)と、個人経営を中心とする加盟店(フランチャイジー)の二者間で行われる。加盟店は一定のロイヤリティを支払うことで、一般に広く知られているチェーン名や商標・マークを使って商売ができるだけでなく、店の経営に必要なノウハウやさまざまな指導・援助を本部企業から受けることができる。

「経営ノウハウの中には、アルバイトの採用や育成のノウハウが含まれます。例えば新人研修の方法や給与などについてもきめ細かくマニュアル化されているため、人材育成のことを何も知らないオーナーさんでも、店舗の経営が始められるのです」

フランチャイズビジネスと一言でいっても、その業種は小売業、外食業、サービス業と多岐にわたっている(図2)。そのため、店舗の従業員にどのような人材がほしいのか、どんなふうに教育するかといったことは、チェーンごとにそれぞれ異なる。そのノウハウを本部企業が持っているからこそ、フランチャイズビジネスを展開できるのである。

相談員「スーパーバイザー」が要

なお、直営のビジネスでは、アルバイトを含む全ての店舗スタッフの人材育成について本部が責任を持っているのに対し、フランチャイズビジネスにおいては、各加盟店の経営者(オーナー)が責任を持つ。

そして、オーナーと本部企業との間のコーディネーター的存在として、「スーパーバイザー」(店舗巡回指導員、以下SV)がいる。定期的に店舗を訪問し、オーナーに経営指導やアドバイスを行う役割を持つ。いわばフランチャイズビジネスの要だ。

「店舗経営がうまくいっているか、何か問題を抱えていないか、といったことを見定め、的確な支援をすることがSVの任務の中心です。時にはオーナーの人生相談に乗ってあげることもあります。便宜上“指導員”という名称がついていますが、実際には“相談員”のような存在であるべきでしょう」

このSVの育成を、日本フランチャイズチェーン協会は主に担っている。

SVに必要となる能力とは

業種や業態が違っても、フランチャイズチェーンのSVに求められる能力は共通する。それはコミュニケーション(意思及び情報の伝達)、コンサルテーション(経営相談及び指導)、カウンセリング(個人的相談)、コーディネーション(調整)、コントロール(点検及び統制)、プロモーション(促進)の6つで、それぞれの頭文字をとって「5C+1P」と呼ばれている。

「これらのスーパーバイザーに欠かせない能力を伸ばすために、当会が1977年から開校しているのが『スーパーバイザー学校』です」

カリキュラムは、フランチャイズビジネスの総論、加盟店とのコミュニケーション、ビジネスに関係する法律や労務、マーケティング、計数管理、ホスピタリティ等の理論学習。そして客観的な視点で店舗を調査し、問題点や課題を見つける“店舗診断”実習の2本立てだ。

参加者を40名前後に絞った少人数制で、講師は大学教授、弁護士、税理士、専門コンサルタントなど各分野の専門家が担当する。講座の総時間数は、合宿形式を含む14日間、100時間に及ぶ。

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