J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2015年07月号

OPINION1 「グローバル人材育成」は特別か否か?! 鍵はコミュニケーションレベルの違い

「グローバル人材育成」は、通常の人材育成と異なるのか。
異なるのなら、どのようにすればその要素を育成できるのか。
長年、日本企業の内外からグローバル人材育成に携わり、日本の企業文化にも詳しいブライアン・シャーマン氏に聞いた。

ブライアン・シャーマン氏
グラマシー エンゲージメント グループ 代表取締役
グローバル組織人事コンサルタント
米国ニューヨーク州出身。13歳の頃、交換留学プログラムで初来日。その後同志社大学への留学、富山県黒部市役所での勤務などを経て、1999年、ニューヨーク市の日系企業向け人事コンサルティング会社入社。2004年、米国住商情報システムズにて人事総務部長、2007年からはファーストリテイリング東京本社にてグローバル人事戦略業務に参画し、欧米露アジア拠点の人事マネジメント業務に従事。2010年、グラマシー エンゲージメント グループを設立し現職。

[取材・文]=増田忠英 [写真]=編集部

グローバル人材=特別ではない

グローバル人材の育成は日本企業にとって今、大きな課題と言われる。人事セミナーに参加すれば、グローバル人材の育成が独立したテーマになっていることも多い。しかしなぜ、それほどグローバル人材の育成を国内の人材育成と分けて特別視するのか、私には違和感がある。

優秀なグローバル人材となるには、まず国内で優秀な人材にならなければならないと思っている。そうした意味で、むしろ考えるべきはグローバル人材の育成ではなく、「世の中で通用する人材」の育成ではないだろうか。日本人同士の間でもうまく仕事を進められないような人材をグローバル人材にしようというのは、土台無理な話である。グローバル人材の育成は、国内の人材育成と異なる特別なものではなく、その延長上にあるものだからだ。

実際、ビジネスでも何でも、世の中を「国内」と「グローバル」で明確に分けることはできなくなっている。国内にいても海外の情報は日々流れており、今や取引先が海外にあることも珍しいことではない。そうした中で人材育成を考えるには、まずは「日本=ドメスティック、海外=グローバル」という意識から脱却することが大切だ。

育成すべき3つの要素

では、「世の中で通用する人材」に求められる能力や要素とは何だろうか。私は、次の3つだと考える。

①自分が何者かを説明できる力

②“阿吽(あうん)”ではないコミュニケーション

③専門分野を持つ

①自分が何者かを説明できる力

まず、初対面の相手に対して、自分にはどのような強みがあり、どのような形で貢献できるかを相手にアピールできる力だ。これは国内外を問わず重要なことで、特にグローバル社会では、これができないと「この人は使えない」と判断されてしまう。

②“阿吽”ではないコミュニケーション

日本がいくらハイコンテクスト社会(共通認識が多く阿吽の呼吸が通じる社会)だといっても、伝えなければわからないことは日本人同士の間でも多い。「以心伝心」「 言わなくてもわかるだろう」というのは迷信、誤解である。

以前、こんな経験をした。ある企業の日本語での会議に参加した時に、理解できなかった部分があり、会議後に日本人参加者に聞いたところ「私もわからない」と言われたのだ。「なぜ会議で質問しなかったのですか」と聞くと、理由があるにせよ「聞きづらい」「言いづらい」とのことだった。まず日本人同士のコミュニケーション力を高め、こうしたことがないようにしなければ、外国人とはなおさらコミュニケーションをとれないだろう。

③専門分野を持つ

日本企業の場合、スペシャリストよりもゼネラリストを育てる傾向が強い。確かにゼネラリスト育成は人事異動でさまざまな部署を経験させるため、そこから得られる幅広い知識と人脈が問題解決に役立つ、というよい面がある。しかし、日本においても転職が当たり前になってきている今日では、専門性を育てることも同時に大切だ。専門性は自らの強みとなり、①の「 自分が何者かを説明できる力」にも関わってくる。

英語と異文化理解は必要か

この3つの要素を踏まえたうえで、「グローバル人材」にさらに求められるスキルについて考えよう(図1)。

●英語力は必須だが……

「英語は必須」とか、「重要なのは語学ではない」という議論がある。私に言わせれば、英語力は、残念ながら無視することはできない要素だ。わかればわかるほどよいのだが、かといってネイティブが話すようなレベルでなくてもよい。TOEICのスコアにこだわるのも、あまり意味がない。

大切なのは、相手としっかりコミュニケーションをとれること。日本人ばかりの会議なら日本語で話し合えばよく、日本語のわからない外国人がいれば英語で話し合う。それぞれの場に合わせて柔軟に対応できる能力こそが求められる。

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