J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2015年05月号

負けないマネジャーのための孫子 第8回 失敗を防ぐ情報収集の教え

市場や競合の状況など、事前の情報収集をしっかり行っていれば避けられる失敗は少なくないのではないでしょうか。
今月はそんな「情報収集」に関する教えです。

青柳 浩明(あおやぎ ひろあき)氏
ビジネス論語スクール主宰。幼少から40 年にわたり、「論語」「孫子」等の漢籍を学び、ビジネス現場でSE、PM、経営企画等の実践を積む。中国古典の伝播活動
として企業団体等で精力的に講義・講演活動中。著書に『論語説法』(講談社)他。

なぜ情報収集が必要か

今月の教えには次の前文があります。「およそ10 万の軍隊を編成し遠方に出征することになれば、国民の経費や国家の出費も1日に何十億をも費やすことになり、国の内外と共に大騒ぎとなり、徴兵にとられ本職を投げ出す国民が何十万家にも及ぶ。そして数年間も対峙したうえで1日の決戦を争うのである」(現代語訳)

何事も成功すれば見返りが得られるかもしれませんが確実ではなく、失敗すれば多額の損失と貴重な人材が失われる、という事態に陥ります。それを承知していながら、調査職等の地位・権限を与えず経費を惜しみ、情報収集を怠るリーダーは、リーダーではないと説いているのです。

情報収集を阻害するもの

現実はどうでしょう。まず、マイホームの購入を例に考えてみます。

マイホームは「人生で最も高価な買い物」と言われます。それだけに、瑕疵などでの損失額を考えると、とてもリスクが高いものです。

しかし、買うにあたっての情報収集には、どの程度のコスト(費用・人件費)をかけているでしょうか。建物の堅牢性、メンテナンス性、災害への耐久性、地価の動向等、収集すべき情報は多岐にわたります。

総経費の5%程度を情報収集にかけるべきと仮定した場合、5000万円のマイホームを購入するなら、土地建物の鑑定や市役所での調査等に250万円を投下することになりますが、そんな人はまずいません。そうしない理由には、「損はしないという過信」「予算不足」「運に任せ過ぎ」「費用節約」などが挙げられるでしょう。

そうした感覚を持った人々が集まるのが組織ですから、情報収集にいくら費用をかける判断をするのか、想像に難くありません。

ガイドラインを設定する

では、どうすれば適切な情報収集ができるのでしょうか。乱暴なようですが、簡単で確実な方法は、「当社ではプロジェクト総費用の○%をリスク分析・情報収集に費やす」といったガイドラインを社内に設けることです。ガイドラインがあれば、コストを出し渋る判断をある程度は回避できるでしょう(形骸化しがちというデメリットもあります)。

もちろんPMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系ガイド)等をもとにリスク分析をすれば、より精緻なコスト算出ができますが、組織の成熟度によっては行き過ぎとなります。そのため、まずはガイドライン設定から開始されるのがお勧めです。

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