J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2011年01月号

連載 インストラクショナルデザイナーがゆく 第44回 グローバルチームは感性と共感で輝き合える

寺田 佳子(てらだ・よしこ)氏
ジェイ・キャスト執行役員、IDコンサルティング代表取締役、日本イーラーニングコンソーシアム理事、IT人材育成事業者協議会理事、eLP(eラーニングプロフェッショナル)研修委員会委員長、JICA情報通信技術分野課題支援委員、JICA─NET Instructional Design Seminar講師、ASTD(米国人材開発機構)会員。著書に『IT時代の教育プロ養成戦略』(共著、東信堂)など。
http://instructionaldesign.blog97.fc2.com/

最終の新幹線を降り、駅ビル高層階にあるホテルのフロントに向かう。ガラス張りの高速エレベータの足元には名古屋の夜景が広がり、車のテールランプが銀河のように輝いている。

それを眺める私の瞳もキラキラしていたに違いない。なぜなら明日は、某グローバル企業のエグゼクティブ・パーティ。米国本部のCEOはじめ、EU、アジア、オーストラリア……と、世界中から100人以上のエグゼクティブが集合する。大手顧客も招待して、エンタテインメントを楽しみながら最新の情報交換をするイベントに、日本支社のコンサルタントである私にも「ぜひに!」とお声がかかったのである。

チェックインをしながら、頭の中にはモーツァルトの室内楽の生演奏を聴きながら、グローバル・エリートたちと優雅にフレンチを楽しむ自分の姿が浮かび、「やっぱりスーツじゃなくてドレスかなぁ……」と、ほとんど踊り出しそうなくらい気分が盛り上がっていたのだが、そこに1本の電話が。「ヨシコ早く来てっ、大変なの!」切羽詰まった声に驚き、部屋に駆けつけると、汚れたタオルを握りしめて涙目になっている中国本社の秘書リンさんの姿があった。

中国人と日本人でてんやわんや

聞けば、中国から届いたパーティ用のパンフレット類を開けたところ、ヨゴレの付着、インクの滲みを発見。これはマズいとビックリして1枚1枚タオルで拭き始めたのだが、量が多くて途方にくれていたという。確かに砂のようなゴミで表面がざらざらしているうえ、インクがところどころに飛び散っている。紙ばさみは糊が剥がれたものさえある。どちらも乾燥が不十分のまま発送したためのトラブルだろう。しかし、必要数の何倍も印刷したようなので、

「片っ端から拭いていたら夜が明けてしまうわ!まず、マシなものを仕分けましょ!」と腕まくり。すぐに他のスタッフも招集した。「大丈夫!日本人は仕分け上手よ」なんてジョークをいいながら、私はひと月前の準備ミーティングのやりとりを思い出していた……「日本で調達するほうが安心ですから準備はお任せを」と主張する日本側。「印刷物やペーパーバッグ(紙袋)、名札ケースなどは我々のスタンダードなものを用意します」と中国側スタッフも負けずにキッパリ。安全と品質をアピールする日本に対し、中国側曰く、「確かに日本の印刷は完ぺきでキレイだが、高過ぎるし時間がかかる!そこそこの品質のものを、安く、速く作るのは、我々の得意ワザです」と胸を張ったのだった……

「確かにスピーディだったけど、サンプルチェックもしなかったのは、リスキーだったよねぇ……」と後悔が胸をよぎったが、そこにさらにトラブルが。英語のミッションステートメントを印刷した、ご自慢の特注ペーパーバッグを広げた時、眼がテンになった。“We promte……”なんかヘン?これって“We promote……”の間違いじゃない!?それを創ったCEOが明日、来るというのに!「ありえなーい!」――茫然とする日本人スタッフ。

しかし、そこからの中国人スタッフの対応は見事だった。ペーパーバッグは全部廃棄と即決し、替わりにホテルの紙袋の中で一番上等なものをかき集めるようホテルの担当者に指示。その切り換えの速さ、大胆さには圧倒されるばかりだった。

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