J.H.倶楽部

無断転載ならびに複製を禁じます。なお内容は取材・掲載当時の情報です。

月刊 人材教育 2010年10月号

ネットでつながる時代にどう書くか ネットの集合知で自らの考えを推敲する

パソコンやネットばかりしていては、まとまった文章が書けないという意見もある。だが佐々木氏は、それはまったく違うという。ネットの「集合知」を利用し、書いたものを整理しやすいパソコンだからこそ、質の高い内容を書くことができるというのだ。

佐々木 俊尚氏
ITジャーナリスト
1988年毎日新聞社入社、1999年アスキーに移籍。月刊アスキー編集部などを経て、2003年からフリージャーナリスト。IT関連の取材を精力的に続けている。『次世代ウェブ』(光文社)、『ネット未来地図』(文藝春秋)など著書多数。
取材・文/西川 敦子、写真/高岡 隼人

文章がうまい最近の若手

「今どきの若手は携帯メールやツイッター漬けで長文が書けない」「インターネット検索ばかりしていて、文章作成に必要な思考力が育っていない」などの声をよく聞く。

しかし、果たしてそうだろうか。逆に私は、むしろ最近の若手は文章がうまくなったと感じる。昔の若者はとかく内容が情緒的になりがちで、論理的な構成が苦手だった。ところが、ブログやmixiが普及し始めた2005年頃から、変わってきた。

ブログで読者を増やすためには、更新頻度を上げることが必要だ。そのためブログでは頻繁に更新するよう努力する書き手が多く、書く機会が格段に増える。もちろん書きっぱなしの文章では読まれない。そこで伝わる文章を書こうと試行錯誤し、結果として文章が磨かれていく。

この事情はツイッターでも同じだ。ツイッターでは140字という字数制限がある。しかも自分のつぶやきに返信をもらったり、引用してもらうためには、もっと短い文章のほうがいい。そうなってくると、もはや俳句・短歌の世界に近い。いやがうえにも言語感覚が研ぎ澄まされていく。

集合知から気づきを得る

パソコンでは考えて書くことができないという見方もある。だがインターネットという「集合知」を利用することで、より自分の考えを深めてから書くことができると私は考えている。

インターネットではどのようなテーマでも、論文や調査データ等を入手することが可能だ。さらに古今東西の著名人や一般人の主張や見解を概観することも容易にできる。

それらの多様な考えやデータに照らしながら、自分の見解を練り上げ、文章として書き起こす。これは他者の膨大な「知の成果」を活用し、その上に自分の知を構築していくことに他ならない。これこそがインターネットという「集合知」を使うことの優位性なのだ。

たとえばテーマが決まり、いざ書くとなったら、まずテーマに関連するブログやニュースサイトなどの記事を検索して、資料をwordなどに貼り付けて並べていく。

それらの資料を読み返すと、何らかの「気づき」があるだろう。たとえば、自分が考えたものより進んだ意見や、想定外の切り口で書かれた意見などを見つけることができる。

そこで、もう1つ別のウィンドウを開き、資料を見ながら気づいたことや、新しい視点などを書き出す。これで自分の考えを一歩進めることができるはずだ。次に書き出した項目のうち、書きやすいところから書き進めていく。長い文章は一気に書こうとすると難しい。書けるところから書き、後で論理的に筋が通るように並べ替えれば良い。そうした文章推敲にパソコンは打ってつけである。

自分の考えを深める意味でいえば、ツイッターやブログといったソーシャルネットワークの利用価値は、単なる情報収集ツールにとどまらない。書き手にとっての最大の価値は、自分の仮説の検証を即座に行えることだろう。

こちらはJ.H.倶楽部会員限定記事です。
ご入会後、続きをお読みいただけます。

残り:1,259文字

/

全文:2,517文字

【入会・年会費無料】

J.H.倶楽部は人事の仕事に役立つ特典が満載です!

  1. 総数2000本以上の人事の実務に役立つ記事(※)が閲覧可能
    ※専門誌『Learning Design』(旧『人材教育』)の記事
  2. 新サービス・お役立ち情報(調査報告書・ホワイトペーパーなど)の先行案内
  3. 会員限定セミナーへのご招待/講演動画・配布資料の閲覧
  4. 興味関心に沿った必読記事を、メールマガジンでお知らせ!