J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2010年10月号

How should we write? 書く力を武器にする

先のインタビューで阿刀田高氏は、書き手は覚悟を持って書き、書いたことに責任を持つ必要があると述べている。
ではそのように書くためには、何が必要なのだろうか。
ここでは「書く」ことを分解し、仕事の“武器”として使いこなすまでの道筋を考える。

職場から失われた添削OJTの光景

「書き散らす」のではなく「書く」。簡単にいえばしっかりと書く、ということだが、そのためには何が必要なのだろうか。結論からいえば、訓練が必要である。

仕事で書く文章には、誰かを説得したり、人との関係をつくったりするなど、必ず目的がある。従来あまり意識されていなかったが、新人から若手、中堅社員となるにしたがって文章の目的も変化し、書く文章の難易度が高まっていく。こうして徐々に難易度の高い文章を書いていくことで、「書く力」の強化が図られてきたのではないか。

現在50代ほどのビジネスパーソンの中には、新人時代に「怖い上司」から、「てにをは」レベルまで文章を細かく直された経験を持つ人が多い。「最初は元の文章がまったく残らないほど赤字(添削)が入った」と語る人も珍しくない。ここまで添削するには非常に手間隙がかかるものだ。

しかし、このようなやり取りを半年から1年ほど繰り返す風景が、ひと昔前の日本の職場にはあった。

やり取りを重ねていくにつれて、てにをはや言葉遣いについての赤字が少なくなり、内容についてのコメントが増えていく。そうしてある日、「OK」が出る。「『君が書いているなら大丈夫だろう。それで出してくれ』と上司からいわれた時には本当に嬉しかった」と、ある経営者は振り返る。

よく書けるとはよく考えられること

では、若手から経営層と、階層が上がっていくにつれて、どのような「書く力」が求められるのだろうか。

若手時代には、相手に伝わる日本語を書くことが第一に求められる。そのためメモから始まり、議事録のとり方や板書の仕方などを学び、日本語そのものを書く訓練を行う。

中堅社員になると、企画書や提案書を書くようになる。さまざまな情報やデータを活用して、説得力のある論理を組み立てることが必要になる。よって言葉の遣い方云々ではなく、文書の内容に重点が移る。

管理職になると、文書を書くこと自体が少なくなる。管理職には、戦略を考えたり、必要な決断をくだしたりして、組織をうまく運営していくことが求められるからだ。中堅・若手社員と比較すると、書くことの質も変化する。管理職は考えるため、良質な思考を補助するために書くことが重要になってくるのである。

この傾向は経営層になるとさらに強まる。経営者に必要なのは、多くの人を惹き付け、リードしていくこと。そのためには力強い、魅力的な言葉を発しなければならない。そこで経営者はコピーライターのように、舞台裏で言葉と思考を精査し、その「ひと言」をひねり出す。

このように「書く」ことの役割の変化をたどると、「書く」ことと「考える」ことが密接な関係にあることがわかる。

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