CASE.3 大成建設 研修、制度とプラスアルファ 女性本人・上司の意識研修に加え 夫婦同伴のセミナーも開催
2007年に「女性活躍推進室」(現・人材いきいき推進室)を設置し、女性社員が活躍できる環境づくりを推進してきた大成建設。
女性リーダーの育成に力を入れており、現在、30名を超える女性管理職が各職場で活躍している。
特にユニークな取り組みとして、配偶者やパートナーを招待できる「両立支援セミナー」がある。
● 背景
労働力減少に女性パワーを
“男性の職場”というイメージが強い建設業界。大成建設でも、以前は基幹職(総合職)での採用は男性に限られていた。設計部門などの限られた部門では、途中から基幹職に登用される女性社員はいたものの、女性社員の大半は担当職(一般職)として補助的な業務に就いていた。
その状況に転機が訪れたのは、2000年頃の就職難だった時代。理工系学部の女子学生が基幹職を希望して応募してくるようになったのだ。
「今後ますます労働人口が減少していく中で、従来のように男性中心でやっていては将来はない、という危惧がありました」と、人材いきいき推進室室長の塩入徹弥氏は当時を振り返る。
2003 年に基幹職として女性の採用を始めたところ、意欲も能力も高かったことから、徐々に採用人数は増えていった。そして2006 年には、会社の方針として女性の活躍推進を決定。翌07年、推進組織として人事部内に女性活躍推進室が設置された。塩入氏はその当初から室長を務めてきた。
「当時の建設業界は右肩下がりの状況で、厳しい競争の中で勝ち残っていくために打ち出した施策の1つが、女性の活躍推進でした。社内には、優秀なのにその力を活かしきれていない女性がたくさんいました。彼女たちがもっと力を発揮できるように、社内環境を整えていこうと考えたのです」(塩入氏、以下同)
以降、同社の女性活躍推進室は、以下の6つのテーマを掲げて取り組みを進めてきた。
①意識啓発 ②採用数の拡大 ③職域の拡大 ④能力開発支援 ⑤働き続けられる環境整備 ⑥社内風土改革
結果、女性の新卒採用に占める割合は約20%、正社員における割合は16%に増え(2015 年1月現在)、建設現場で活躍する女性社員も増えつつある。
しかし、同社がめざすのはそれだけではない。特に基幹職として採用した女性社員が、ゆくゆくは管理職、リーダーとして活躍する人材に育つことであり、その支援に力を入れている。本稿では代表的な施策として、①次世代リーダー育成研修、②女性社員を部下に持つ管理職研修、③パートナーと参加する両立支援セミナーの3つを紹介したい。