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月刊 人材教育 2015年01月号

人事の職場拝見! 第48回 日本水産 100年の歴史を未来へつなぐ“キャリア”意識醸成で変革を

ニッスイは「自立と自律」を基本とした新たな教育体系の設計に取り組んでいる。そのキーワードは“キャリア教育”。
社員一人ひとりが自分の役割を認識し、成果を出すことで人生の豊かさへとつなげる――。より高い視点を持つ人材の育成に向け、今、転換点に立っている。

"水産資源から多様な価値を創造する
日本水産
■会社データ
設立:1943年(創業:1911年) 
連結従業員数:8919名(2014年3月31日現在)
事業内容:食品事業、水産事業、ファインケミカル事業、物流事業等
■部門データ
人事部人事課:7名
職務内容:人事制度運用、採用、教育"

会社を変革する人材づくり

2015年度以降の教育体系を含めた大幅な刷新に向け、人事制度の見直しに取り組む日本水産(ニッスイ)。そうした中で同社が理想とするのは、目まぐるしく変わる環境に合わせて思考や行動を変え、会社を変革へと導ける人材だ。だが、「単に変わることだけを求めているわけではない」と人事部人事課 課長の吉田桂子氏は話す。

「100年企業として存続しているのはそれなりの理由があるから。当社の強みを活かし、時代の要請に合わせて変革できる人を育てたい」

現在運用中の人事制度は約10年前につくられたもので、対象職種は総合職のみ。そのため、自然と「管理職」をめざす社員が多かった。しかし、今や社員のキャリアパスは変化しつつある。制度も今の時代にそぐわなくなった、と吉田氏は言う。

「キャリアの歩み方や働き方は多様化しています。以前はマネジメントになれるか、なれないかという分かれ道しかありませんでしたが、現在では、特定領域で専門性を極める道も考えられます。今回の制度改革では、そうしたキャリアを明確に分けたコース設計をしています」

「個人のキャリア」の視点を持つ

人事課では、キャリア教育を新たな教育体系の軸に置くことを検討している。

吉田氏は、「仕事は人生の一部にすぎないが、人は仕事で成長するもの。仕事を充実させることが人生をより豊かにする」と考えているが、これに基づくキャリア教育を推進するには、ベテラン層の意識改革が必須だという。「自立した個人としてキャリアを考える」という概念は、若い世代には比較的受け入れられやすい。だが、がむしゃらに働き、会社の期待に応えつつ実績を重ねてきた世代に、「個人のキャリア」という視点を持ってもらうには、どうしたらいいのか――。そのヒントは、現在同社で行っている55歳の社員を対象としたキャリア研修にある。

「定年を現実的に捉える年齢になって、会社を離れた時に自分に何が残るのか、世の中で自分をどう位置づけるかを問われると強く心に刺さるようです。キャリアを理解し、考える、よいきっかけになっています」

「個人のキャリア」を浸透させるには、ニーズに合致した研修やコンテンツを的確なタイミングで投入することがカギなのだ。階層別教育の課題と挑戦

一方で、階層別の教育設計における課題の1つがマネジメント層の育成だ。現状、新任管理職は管理職になって初めてマネジメント研修を受講する。だが、本来なら管理職になる前にマネジメントの役割を理解してもらうべきだ。

「マネジャーに問われるのは“部下にどう任せ、どう仕事を回すか”というスキル。マネジャー自身が現場の業務をこなせば、その場の仕事は回りますが、部下の成長にはつながりません。次世代リーダー育成のためにも、常にひとつ上の目線で考えるマネジメント教育が必要です」

同時に、若手中堅層への教育コンテンツの強化も課題だ。新人育成は手厚いものの、その後は係長クラスになるまでOJT任せになっている。だがこの期間は、さまざまな経験を通してビジネスパーソンとして知見が広がる重要な時期だ。

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