J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2011年12月号

Column 知を美しく可視化する「読書の森」図書館 ―本がつなぐ知識と創造性の輪―

仕事で追われ、寸暇を捻出することすら難しい昨今。オシャレで、かつ一見してわかる工夫で、社員が自然に本を手に取りたくなる仕掛けがある。モバイル広告・マーケティング会社、ディーツーコミュニケーションズが行う「読書の森」プロジェクトだ。「本を読んだ人が、共感したところに付箋を貼っていく」というシンプルなものだが、社内の知を見える化し、社員の知りたい、学びたいという意欲を刺激する。ユニークな森のユニークな仕掛けについて、仕掛け人の甲斐慎一郎氏に聞いた。

甲斐 慎一郎(かい しんいちろう)
事業開発本部 エキスパート

ディーツー コミュニケーションズ
NTTドコモ、電通、NTTアドの3社合弁で2000年に設立された、世界初のモバイル広告・マーケティング会社。資本金:34億8000万円、従業員数:264名(非常勤役員含まず、2010年9月末現在)

取材・文/西川 敦子、写真/本誌編集部

本に木を植え、「共感」を可視化する

「本を読んで学んだこと、感じたことを社内で共有できないだろうか」――そんな思いから始まった取り組みが、「読書の森」だ。システムは簡単。「社内図書館」から、社員であれば誰でも好きな本を自由に選び、共感したページに付箋を貼る、というものである。付箋が「木」のデザインであるところからこの名がついた。「木がたくさん“植えられて”いるものは、一見して多くの共感を集めた本だとわかります。また、忙しい人、あまり本を読まない人も、木の植えられたページだけをチェックすれば、大切なポイントをつかむことができます。“共感”が可視化されることで、他の人の視点を知ることができ、なおかつ『読んでみたい』『自分もそこから何かを学びたい』というモチベーションも湧いてくるのでは、と考えました」(甲斐氏、以下同)図書館は社内のリラックススペースの一角に設けられている。一度に借りられる本は1冊までで、貸出期間は原則2週間。借り手は貸出カードに必要事項を記入したら、備えつけの付箋(1ケース30枚入り)とともに本を持ち出すことができる。現在、100冊の本が所蔵されているが、ただの「古本コーナー」ではない。「社員の読み古しなどを手当たり次第に集め、もっと冊数を増やすこともできましたが、あえて厳選したものだけを並べています。本の選定にあたるのは、社内コンシェルジュ4名と社外コンシェルジュ1名。社内からは、いろいろな視点から選んでもらうために、事業開発本部の他、営業本部やメディア本部など部署をまたがったメンバー構成としました」

視点や創造力を広げるための森

本のジャンルはさまざま。当然ながら、広告、マーケティング関連の本も多く用意されている。専門知識を身につけることだけではなく、社員間の共通言語を増やしていくことが狙いだ。それまでは、部署や経験によって知識の幅や遣う言葉はまちまちだった。たとえば“デザイン”という言葉ひとつとっても、営業やディレクター、プランナーなど、役務によって捉え方が異なることがある。こうしたズレも、同じ本を読むことで少しずつ減らしていくことができる、と甲斐氏。「もちろん、一般的なビジネス書も多く置いています。若手向けにビジネスの基本や、管理職が知っておくべきマネジメントの心得など、OJTや研修ではなかなか伝えられないことを学べるように、との配慮からです。

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