J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2012年04月号

巻頭インタビュー 私の人材教育論 コニカミノルタホールディングス 代表執行役社長松﨑正年 自社独自の強みを活かし成長の機会を確実に成果につなげる

複合機・プリンターなどの情報機器事業、液晶用光学フィルムなどのオプト事業、ヘルスケア事業、そして計測機器事業――。
「材料」「光学」「微細加工」「画像」という4つのコア技術を融合させたものづくりを展開してきたコニカミノルタグループ。
「Giving Shape to Ideas」を合言葉に、今後さらにワールドワイドにシナジー効果を生み出していくことをめざす同社の組織・人づくりの戦略や実践について代表執行役社長 松﨑正年氏に聞いた。

松﨑 正年(Masatoshi Matsuzaki)氏
生年月日 1950年7月21日
出身校 東京工業大学大学院
総合理工学研究科
主な経歴
1976年4月 小西六写真工業 入社
1998年5月 情報機器事業本部システム開発統括部第一開発センター長
2003年10月 コニカミノルタビジネステクノロジーズ 取締役制御開発本部長
2005年4月 コニカミノルタホールディングス 執行役コニカミノルタテクノロジーセンター 代表取締役社長
2006年4月 コニカミノルタホールディングス 常務執行役 コニカミノルタテクノロジーセンター 代表取締役社長
2009年4月 コニカミノルタホールディングス 取締役代表執行役社長
現在に至る

コニカミノルタホールディングス
2003年8月、コニカとミノルタが経営統合。その後、コニカミノルタホールディングスが持株会社としてグループ経営戦略の策定・推進、グループ経営の監査等を行う。連結会社の主な事業内容は、情報機器事業(複合機・プリンター、印刷用機器など)、オプト事業(光学デバイス・電子材料)、メディカル(ヘルスケア用製品)、計測機器事業(色計測機器・三次元計測機器)等。
資本金:375億1900万円、連結売上高:7780億円(2010年度)、連結従業員数:約3万5200名(2011年3月末現在)

インタビュアー/西川敦子
Interview by Atsuko Nishikawa
写真/太田 亨
Photo by Toru Ota

“ジャンルトップ”で果敢に攻めていく

――堅実な経営スタイルを取ると報道されてきた貴社ですが、2011年5月に発表された中期経営計画「Gプラン2013」では「Growth(成長)」をキーワードとされ、成長の実現・規模の拡大、「真のグローバル企業」への進化、「コニカミノルタ」ブランドの認知度向上、の3点を基本方針とされています。こうした背景のもと、貴グループの人づくりについては、どのような方針や思いをお持ちでしょうか。

松﨑

コニカミノルタグループ全社での共通目標は「ジャンルトップ」になることです。

前社長時代から、成長が期待できる事業領域・市場に経営資源を集中させ、その中でトップポジションを確立する“ジャンルトップ戦略”を掲げてきました。

すでに情報機器事業のプロダクションプリント(デジタル印刷)分野においては、カラー出力機を中心に好調な販売が続き、欧州ではシェアトップを獲得し、北米地域ではトップ争いを展開しています。

全事業領域での規模の拡大は難しくても、ここと見定めたジャンルにおいてはトップをめざし、最大限に利益を拡大していく。「ジャンルトップ」という言葉が、それだけ浸透してきた結果ではないかと思っています。

――集中すべきと見定めたところで、果敢にトップをめざしていく、ということですね。

2003年、コニカとミノルタの統合で、2つの企業文化が1つになったわけですが、その頃から果敢に挑戦していく企業風土ができてきたのでしょうか。

松﨑

それが、そうでもないんです。というのも、当社の印象について、外部の方にお聞きすると「良くも悪くも上品ですね」とおっしゃる。品位がある、礼儀正しい、人の足を引っ張ってまで自分が勝ち残ろうとしない――そんなところがあるようですね。

人と張り合わない、というより、“親しみやすい”というのでしょう。これは海外の企業とパートナーシップを組む際、有効にはたらく点です。「一般的に日本人はどうもクローズドなところがあってやりにくい。しかし、コニカミノルタさんは、守るべき点は守るものの、概してオープンですね」といわれます。こうしたところはもちろん、当社のいいところです。

鳥に例えれば、上品なイメージの「ツル」といったところでしょうか。もちろんコンプライアンスや倫理観は重要ですから、そこは今後も守るものの、この先ずっとツルでは生き残れません。嵐の中でも、餌がなくても生き抜いていくカラスになり、スズメにならなくては。

ですから、常々こういっているんです。「負けたら悔しいと思わにゃいかん」と。「負けても仕方ない」はコニカミノルタでは通用しない。

――あくまで強いメンバーでジャンルトップをめざすと。

松﨑

そうです。グループ全体でいえば、うちは持株会社制ですから、プラグイン・プラグアウトがやりやすいんですね。どういうことかといえば、強くて流動的なインターフェースを作ることが可能だ、ということです。

ですから、グループ全体の成長に必要と思えば、どんどん新しい事業領域を持つ会社をグループ内に組み入れていく。だが、その後、事業性や市場性がないと判断した時は、場合によっては退場してもらうこともありうる。コニカミノルタにとどまるためには、それなりのパフォーマンスを示してほしいということです。

もちろん、当社自体も事業会社から見て、ホールディング会社にふさわしいプロフェッショナリズムを問われている。ですから、グループ全員が強くなるという覚悟が必要です。

トップを獲ることをあきらめない集団

――強いメンバーとなってジャンルトップを勝ち取るために、求められるものは何でしょうか。

松﨑

トップを獲る、という執念でしょう。

私が開発部隊にいた頃の話ですが、米国のトップメーカーとお付き合いしていて驚いたことがあります。彼らにとって、トップの座を維持することは当然のことで、そのためならどんなことも辞さない。

たとえば、到底達成できないようなタスクにぶつかると、「これを成し遂げるのは無理だから、目標を変更しよう」と妥協点を探そうとします。ところが彼らは「こちらもマンパワーを提供するから、なんとかやってみようじゃないか」というわけです。

困難に直面しても、あきらめてしまわずに、すぐ「どうすれば乗り越えられるか」と考え、必ずやり遂げる。一流の仕事人は、考え方や判断基準が根本的に違うのだ、と思いました。

――新入社員への訓示では、「志を高く持て」とおっしゃっています。

松﨑

そう。ですから社員にも、5年、10年かけても、やり遂げるだけの価値があると思う目標を自分で掲げ、その実現に邁進してほしいですね。あきらめずにめざし続けなければ高い成果は得られません。

私自身も同じような経験があります。まだ課長になる前、新規事業で開発を担当することになったのですが、「出来上がった技術の寄せ集めをしていたんじゃダメだ。世界のプリンタメーカーがあっと驚くようなものを作ってやれ」と決意したことがあるんです。

あれはかなり大きなチャレンジでしたね。上司は思いを汲んでくれ、全力でサポートしてくれましたが、周囲の反応は至って冷ややかでした。それもまあ、当然の話です。新しいことを始めれば、生産部門も品質管理部門も仕事が増えますから。しかも、成功の保証はどこにもない。「君はあきらめるということを知らないのか」とさんざん諭されました。それでもいうことを聞かないので、しまいには呆れられたものです。

結果的に事業は成功しましたが、「あきらめない」という言葉こそ、大切ではないでしょうか。いったんやると決めたことは、決してあきらめてはいけない。それが志を高く持つ、ということです。

もう1つ、新人たちに話しているのは、「強みを活かせ」ということ。これも、ジャンルトップ戦略においては絶対条件です。

学生時代に優等生になるには、いかに“優”をたくさん取るかが重要でしょう。ですが、グローバルな競争社会においては、これでは通用しません。

世界に存在感を示し、高い成果を上げるには、自分ならではの強みをつくること、そしてその強みを磨き、活かすことです。

――事業経営においても、強みを活かす戦略を展開されています。

松﨑

「中期経営計画Gプラン2013」では「売上高1兆円の達成」という目標を掲げました。当然ですが、成長の機会は確実に成果につなげていく必要があります。

したがって、経営資源は成長が見込める製品・分野・市場に重点配分しなければならない。つまり、今持っている強みが何で、どこに力点を置くかをはっきりさせることが大事なのです。そのうえで、既存事業の拡大や提携、M&Aを中長期的に展開していきます。

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