J.H.倶楽部

無断転載ならびに複製を禁じます。なお内容は取材・掲載当時の情報です。

月刊 人材教育 2011年10月号

調査レポート 「Assessments 2011: Selecting and Developing for the Future」より データからわかる北米企業のアセスメント活用状況

北米を中心とする海外企業の8割強がアセスメントを導入しており、とりわけ業界をリードするトップ企業ほど、人材活用や育成のために戦略的にアセスメントを活用しているという実態が明らかになった。「Assessments 2011: Selecting and Developing for the Future」の調査から、北米企業を中心とする海外企業の最新のアセスメント活用状況を紹介する。


ケイ・L・コッター
パーソネル・ディシジョンズ・インターナショナル・ジャパン 代表取締役社長
イリノイ工科大で産業組織心理学博士号取得。金融系企業を経て、1990年パーソネル・ディシジョンズ・インターナショナル(現PDI Ninth House)入社。アセスメント部門を率い、世界各拠点で同サービスの拡大に貢献。2003年PDI Ninth House日本法人社長に就任。現在、日本と韓国の組織経営とともに、コンサルティングやエグゼクティブ・コーチングにも従事。

北米ではスタンダードとなっているアセスメント

リーダーシップのアセスメントに最も早い時期から取り組んできた米国の人事・人材開発のコンサルティング会社PDI Ninth Houseでは、Aberdeen Group(以下アバディーン)と共同でアセスメント調査を行った。アバディーンは米ボストンに本社を構える、全米でも有数のリサーチ企業である。本調査は、2011年3月~4月にかけて北米を中心とする企業(一部、欧州、中東、アジア太平洋、南米の企業を含む)に対してオンラインで実施された。今回の調査で最も顕著だったのは、回答した640社のうち実に8割強に当たる516社がアセスメント(シミュレーション型アセスメントや各種テスト等を含む)を導入していることである。なぜこれほどアセスメントが必要とされているのであろうか?この問いへの回答として考えられるのは、人の能力やスキルを、構造化されたツールなしで客観的に測定・評価するのは非常に難しいからである。主観を極力抑え公正な評価を行うために、構造化されたツールとしてアセスメントが活用されているのである。事実、北米の多くの企業では、戦略的な人材の活用や育成といった観点から、アセスメント結果を社内選抜、採用、昇進昇格、後継者育成、能力開発などの重要施策に活用することが一般的となっている。今回の調査で回答があった516社のアセスメント導入理由のうち、最も多かったのは、「組織全体のあらゆる階層でより質の高い人材が必要」(60%)であり、次いで「ビジネス環境の変化により、これまでとは違った新しいスキルが求められる」という回答が32%、さらに、「リーダーシップ・スキルの不足」も30%にのぼった。次に、アセスメント結果の活用目的としては、「より優れた候補者を選抜することでビジネス成果を上げる」が70%、「変革と成長を促進するリーダーを輩出する」が48%、「新規採用者を組織へと適合させる」が46%と続いている。当然のことながら、多くの企業は、人材の適材適所が企業の成功の鍵となるということに気づいている。すなわち、人材を適切に見極め育成することで企業の戦略性が向上し、またリーダーに社内の変革と成長の促進役を担ってもらうことで結果的に業績アップにつながるということを肌身に感じているのである。

トップ企業ほど戦略的にアセスメントを活用

ここからは、海外企業のアセスメントの活用の特徴をさらに分析するために、回答があった516社を業界内の上位層(Best-In-Class)、中位層(Industry Average)、下位層(Laggards)の3つの階層に区分し、階層間でどのような差異があるかを見てみよう。階層は、業績などによって区分し、上位層は業界内の上位20%に位置する企業、中位層は同じく中位50%に位置する企業、そして下位層は同じく下位30%に位置する企業とした。まず、アセスメントのデータをどのくらい重要視しているかを、「非常に重要」から「全く重要ではない」の重要度5段階(5が最高)で調査した結果を階層別に見てみたい(図表1)。いずれの目的に対しても、上位層のほうが中位層や下位層よりも、アセスメントのデータを重視している。特に、「誰をハイ・ポテンシャル人材とするか」という優秀人材の見極めに関するアセスメントのデータの重要度は、上位層が4.1ポイントと、下位層の3.3ポイントより0.8ポイント高くなっている。つまり、業界内の上位層の企業ほど、将来活躍する人材を見極めようとする際にアセスメントのデータを重視し、活用しようとする傾向がうかがえる。次に、アセスメントの具体的活用実態として、人材を採用する際のアセスメント活用はどうだろうか。「(採否を決定するうえで)アセスメント結果を重視する」と回答した企業は、上位層で58%であるのに対し、中位層・下位層では46%にとどまる。一方、「最終的な採否を採用マネジャーが決める」と回答した企業は、上位層(66%)よりも、中位層および下位層のほうが73%と高くなっている。このことから、上位層の企業ほど客観的な採否判断を下すために、採用マネジャーの“勘”よりも、アセスメントの結果を重視しているといえる。さらに、「候補者/応募者を見極めるアセスメント・プロセスを確立している」と回答した企業は、上位層で84%、中位層で72%、下位層で64%であった。また、「採用マネジャーがアセスメント結果を効果的に活用する方法を知っている」と回答した企業は、上位層で69%、中位層で51%、下位層で48%であった。「採用後に行ったアセスメントの結果が従業員の業績結果と相関関係があった」と回答した企業は、上位層で48%、中位層で28%、下位層で23%となった(図表2)。いずれの結果も業界内の上位層の企業ほど、人材の採用に際してアセスメントを効果的に導入し活用していることが示されている。こうしたアセスメントのより良い活用や効果のために、業界内の上位層の企業では、「ポテンシャルを測る正確性の根拠」を最も重要視してアセスメント提供会社を選定しており、その割合は43%に上る。これに対し、中位層と下位層では29%にとどまっていることから、アセスメントの導入の段階で、上位層の企業ほどアセスメントの手法や信頼性を十分に吟味しているといえる。

こちらはJ.H.倶楽部会員限定記事です。
ご入会後、続きをお読みいただけます。

残り:2,078文字

/

全文:4,156文字

【入会・年会費無料】

J.H.倶楽部は人事の仕事に役立つ特典が満載です!

  1. 総数2000本以上の人事の実務に役立つ記事(※)が閲覧可能
    ※専門誌『Learning Design』(旧『人材教育』)の記事
  2. 新サービス・お役立ち情報(調査報告書・ホワイトペーパーなど)の先行案内
  3. 会員限定セミナーへのご招待/講演動画・配布資料の閲覧
  4. 興味関心に沿った必読記事を、メールマガジンでお知らせ!