J.H.倶楽部

無断転載ならびに複製を禁じます。なお内容は取材・掲載当時の情報です。

月刊 人材教育 2011年09月号

TOPIC 3 ─NIE at Workplace!学習媒体としての新聞─ 新聞から自然と身につく 地球規模の想像力

『NIE』とは、Newspaper In Education、つまり教育に新聞を活用しようという運動のことである。1930年代にアメリカで始まり、日本でも毎年500以上の学校がNIE実践校に指定され、教育現場で新聞を活用している。しかし新聞を使った学習が有効なのは、小中学校の教育現場だけではない。グローバル化を前提とした今のビジネスの場でも、新聞は学習媒体として有益なメディアである。職場教育に新聞を──新聞から企業人が学べる知識や価値観、そしてその学習方法について、朝日新聞社 教育事業センター長の坂本 弘子 氏が語る。


坂本弘子 朝日新聞社 教育事業センター長

取材・文・写真/井戸沼 尚也

不明確な情報の危うさ

かつて新聞は一家に必ず一紙はあり、家族がさまざまに活用していた、いわば1つの“インフラ”だった。しかし、少子高齢化の進行による人口減少やインターネットの普及の影響を受けて、国内の新聞の発行部数は大きく減少している。2000年には7189万部だった総発行部数が、2010年には6319万部となり、わずか10年で870万部も落ち込んでいるのだ(新聞協会調べ)。特に若年層の新聞離れが著しく、2010年の文部科学省の調査では、50代の85%が新聞を読んでいるのに対し、20代では47%しか読んでいないことがわかった。本来、若年層こそ新聞を活用して、幅広い知識を学んでいく必要がある。しかし昨今、若いビジネスパーソンは新聞を読まずに、インターネットやTwitterなどから情報を得ることが多い傾向にある。朝日新聞社 教育事業センター長の 坂本 弘子 氏は、こうした情報収集について、便利さを認めながらも、危うさを指摘する。「たとえばSNSの情報は、口コミの手軽さやスピード感があっていいのですが、一方、信頼性が十分に担保されていないケースもあることを認識する必要があるでしょう。また、限られた人の間での情報は関心が偏りやすく、日本全体で考えるとどうなのか、アジアでは、世界全体では……といった大きな視点が欠けてしまいがちです」(坂本氏、以下同)

ぱらぱらと地球を読む

新聞を読むことによって養える「大きな視点」について、坂本氏はこう続けた。「新聞には、地球の裏側で繰り広げられている政争の記事から、国内の小さな村の特産品を使ったレシピまで、実にさまざまな情報が詰まっています。たとえば都会で働く若いビジネスパーソンも、新聞をめくっているだけで、それらの全ての情報に触れることができます。どの記事にも、その地域なりの暮らしがあり、人々の息づかいがあり、喜怒哀楽や栄枯盛衰が紡がれており、時空の広がりや多様な価値観を感じることができるのです。こうした習慣を日常の中に組み込んでおけば、ビジネスに不可欠なグローバルな視点を習得することが容易になります」そうはいっても、忙しい日々の中、新聞を毎日読むのは大変だと思う人もいるだろう。しかし坂本氏は「無理をして全ての記事を読む必要はない」という。「一日5分でも10分でもいいのです。読み方のポイントとしては、まず、大切なニュースが詰まっている1面をざっと読みます。その後は全体をぱらぱらと見ることです。それぞれのページの見出しや写真が目に入ってきますから、面白そうだと感じる記事を読みましょう」

こちらはJ.H.倶楽部会員限定記事です。
ご入会後、続きをお読みいただけます。

残り:1,085文字

/

全文:2,169文字

【入会・年会費無料】

J.H.倶楽部は人事の仕事に役立つ特典が満載です!

  1. 総数2000本以上の人事の実務に役立つ記事(※)が閲覧可能
    ※専門誌『Learning Design』(旧『人材教育』)の記事
  2. 新サービス・お役立ち情報(調査報告書・ホワイトペーパーなど)の先行案内
  3. 会員限定セミナーへのご招待/講演動画・配布資料の閲覧
  4. 興味関心に沿った必読記事を、メールマガジンでお知らせ!