J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2013年08月号

人事の職場拝見! 第31回 ビジネスパフォーマンス向上のソリューション 変化に強い企業力をつくる教育改革

エヌケーケーシームレス鋼管が求めるのは、“文化や習慣の異なるグローバルな環境の中でも、企業目的に適う価値を生み出せる人材”である。その実現のために、既存のプログラムを見直し、“本当に求められる教育”を模索する人事部。同社の教育は、今まさに分岐点に立っている。

世界のエネルギー産業を牽引
エヌケーケーシームレス鋼管
■会社データ
設立:1912年 日本鋼管
2000年 エヌケーケーシームレス鋼管(アルゼンチンの企業とNKKの合弁企業として、NKK京浜継目無鋼管部門が分社独立)
従業員数:約600名(2013年3月31日現在) 
事業内容:主に石油・ガスおよび一般産業向けシームレスパイプ(継目無鋼管)の製造・販売
■部門データ
人事部:8名
職務内容:採用、異動、評価、教育・研修など人事業務全般

パフォーマンスを導く教育への方針転換

エネルギー関連企業にパイプ製品を供給するグローバル企業テナリス(本社:アルゼンチン)。エヌケーケーシームレス鋼管は、その日本での製造・販売拠点であり、ハイエンドの継目無鋼管(シームレスパイプ)専業メーカーとして、前身の日本鋼管の時代から100年を超える長い歴史を持つ企業だ。同社の人事部は、グローバル・マトリックス組織の中に組み込まれ、採用や教育など機能別にそれぞれテナリス本社部門にもレポート・ラインを持つ。つまり各機能がグローバル・ポリシーに基づきながらローカルの課題へ対応することが求められる。社員教育を主管するTenarisUniversityは2005年に創立。グローバルビジネスを展開する中で、社員教育を通じてのみ、競合他社との差別化が図れるとの信念から、全世界の社員に対し、テナリスが求めるカリキュラムをPushしてきた。だが近年、一定の成果が見えてくると、今度は社員のパフォーマンス・ニーズに基づくPull型へシフトすることになった。人事部長の河合秀忠氏はこう話す。「教育・研修を受ける習慣を根づかせるためにPushは必要なステップでした。しかし今後は、ビジネスの目的に適うパフォーマンスを導くソリューションの1つとして、トレーニングが位置づけられます」

やらせる教育から潜在的ニーズに沿った研修へ

テナリス本社はリーマンショック以降でさえも“教育予算は残せ”というほど教育熱心だ。事実、TenarisUniversityの実績は世界的にも高く評価され、世界中の企業内大学を評価する国際企業CorpUによる『Corporate University Award』において、今年2つの賞を獲得した。だが、その社内教育をさらに進化させるべく、動き出している。「現在、職種ごと、レベルごとにカリキュラムが細かく定義されていますが、それがかえって足かせとなり、画一的な教育になっています。本社はそれを見直し、次の段階、いわばビジネスのパフォーマンスを上げていくための“現場のトレーニング・ニーズ”を重視する方向へとシフトしているのです」そうした流れを受け、人事部では、テナリスの教育カリキュラムをより日本のニーズに沿った内容へとカスタマイズしている。たとえば、現場で生産法を指導する際、学術的な理論と結びつけた教育を試みた。「鋼管製造の工程の中で鋼管の硬度や靭性を調整するために、鋼を暖めて冷やす処理を行います。しかし、現場オペレーターの中には、作業について熟知していても、なぜそうした処理をするのか知らない方もいます。原理を知り、皆でそれを共通認識として持つことで、仕事への意識が変わり、個人の能力向上につながるのです。実際この研修は現場から好評を得ました」

試行錯誤から生まれる新たな教育への一歩

試行錯誤しながら、どのような反応が出るのかを学び、言葉になっていない現場のニーズを引き出すことが人事部の今年の大きなテーマだ。「本社から降りてきたカリキュラムをそのまま現場に流し込むこれまでの“研修屋”的な役割では不十分です。人材育成部門の役割は、“育てる”よりも、“育つことをサポートする”こと。やり方に正解はありませんが、それを考え創ることに挑戦しています」

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