J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2013年08月号

ワンワード論語 第12回 「恕」

ビジネスで決して用いることのないワード。それなのに、ビジネスや家庭など人間社会において絶対に欠かせない心くばり、それが「恕」、思いやりです。

青柳 浩明(あおやぎ ひろあき)氏
安岡活学塾専任講師、(財)岩崎育英文化財団勤務。幼少から40年論語を学びSE、PM、経営企画他、多くのビジネス現場で実践を積む。ビジネス論語の伝播活動として企業等で講演等を実施する。ビジネス論語スクール主宰。日本経営品質賞審査員他。

[文]=青柳 浩明 安岡活学塾 専任講師 [イラスト]=秋葉 あきこ

今月のワード「恕」は、見慣れないワードでしょうが、ビジネスは当然のこと、家庭やプライベートと、人間関係のある限り、絶対に欠かせない心構えのことです。その証拠に、ビジネスにおいて「恕」は現代の言葉に置き換えられ、経営理念や行動指針などに盛り込まれています。“お客様本位”や“ホスピタリティ”“Win-Win”などです。2500年前はこれを「恕」と、ワンワードで言い尽くしていたのです。

●人間関係で欠かせない心くばり

「恕」は、女(女性)+口(領域)+心で構成されます。「如」は生命を宿すことのできる女性の子宮を表し、母の我が子に対するような深い思いやりの“心”を加えたのが「恕」です。また母は我が子の失敗に同情してとがめずにいてあげられる寛容な心を有していることから“、ゆるす”と訓読みされます。

●されたら嫌なことはしない

今月の論語1は、「恕」をわかりやすく教えてくれる章句です。実は、この教え、私が初めて教わった『論語』の教えです。私が5歳だったある日、家にケーキが1つあることに気づきました。来客用でしたが、知らなかった私は、見た瞬間に欲望にとらわれ、ぺろっと平らげてしまいました。お客様がお越しになった時の母の動揺、今でも忘れられません。その夜、帰宅した父は事情を聞かされると私を呼びつけ正座をさせ、この教えを教えてくれたのです。相手の立場や心情を考えることの大切さは誰にでもわかります。とはいえ、相手の心は千差万別であり、見えませんから容易には窺い知れません。そこで、“ものさし”として、ある程度は把握できる自分の心を用いるのです。自分がされたら嫌だなと思うのならば、おそらく相手も同じだろうと慮るのです。自分のケーキを誰かに食べられたら、悔しくて怨むかもしれません。ならば、自分も周りの人にそういう思いをさせるようなことはしない。ビジネスの文脈で言えば、誰かの手柄を横取りしたり、自分の失敗を誰かに押しつけたりしない、といったことです。

●頭で考えるほど簡単ではない

簡単なことのように思えるかもしれませんが、そんな簡単なことを、高弟の1人に孔子さんが一生守るべき教えとして諭すはずはありません。この教えの難しいところは、損得勘定でいえば“損”に感じられることであっても実践できるか、というところです。試しに次のケーススタディにトライしてみてください。それぞれの場面に直面したら、あなたは現実として、どんなアクションをとるでしょうか。

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