おわりに 選別から「共創」の採用へ
LoveVector / PIXTA(ピクスタ)
構造変化がもたらす「個と組織」の新たな対等性
深刻な労働力不足を背景に、企業が一方的に人材を選別し、獲得して終わる従来の採用活動は限界を迎えている。これからの採用は、個人の在りたい姿と企業のビジョンを対等に刷り合わせ、入社後のエンプロイージャーニーへとつなぐ「関係性資産」を築く「入口」だ。本特集では、テクノロジーの台頭と人間らしさの役割分担を意識し、個と組織の未来が美しく交差する新たな採用の在りたい姿を模索してきた。
この個と組織の関係性の再定義は、人的資本経営の核に他ならない。「人材版伊藤レポート2.0」が提唱する「自律的なキャリア形成の支援」は、もはや社内制度にとどまらず、候補者と企業が出会う最初の「入口」である採用活動から一貫して体現されているべきものだ。
このような問題意識や雇用の構造変化と歩調を合わせるように、2022年には「三省合意(インターンシップの推進に当たっての基本的考え方)」の改正が行われた。この改正は、単なる早期の囲い込みを目的としたイベントを排し、質の高い就業体験を通じた「キャリア形成支援」としての役割をインターンシップに正式に位置づけたものである。このように、マクロな指針や制度改革の動きはいずれも、一方的な選別から候補者自身のキャリア自律に伴走する対等な共創の採用設計への転換を、企業に求めている。
