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月刊 人材教育 2014年05月号

人材教育 The Movie ~映画でわかる世界と人~ 第20回 『天井桟敷の人々』

『天井桟敷の人々』は、フランス人自身がフランス映画の歴代ナンバー1として選んだ、名作中の名作である。私は子どもの頃、フジテレビで午後3時から放映されていた「テレビ名画座」という番組で、この映画を初めて観た。学校から帰っておやつを食べながら、私はこの番組を通して多くの名作に出会った。これはテレビが果たした大きな功績だったと思う。今、テレビは視聴率しか考えないし、ネットでは各自が関心のある情報にしかアクセスしないから、こういう出会いはもう望めない。TSUTAYAがお薦めコーナーなどをつくっているのが救いだったが、今やネットで観放題の時代になった。名作に接する機会はますます少なくなっている。変化の激しいIT社会だからこそ、過去を知らないと人間は自分を見失う。社会が世代を超えて文化遺産を共有していくには、どうしたらいいだろうか。
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プロフィール

1954年生まれ、メディア・エンタメ時評。中央大学大学院法学研究科修士課程修了(政治学修士)。シンクタンク勤務後、企業や自治体などで研修講師を務めつつ、コメンテーターとして活動。著書に『歴史を知ればもっと面白い韓国映画』『映画が語る昭和史』(旧・ランダムハウス講談社)等がある。

DVD発売中 各¥2800(税別)
発売元:株式会社IMAGICA TV
販売元:エスピーオー
白塗りのパントマイムで人気を博す芸人バチスト。一座の娘と結婚し子どももできたが、心の中にはもう一人の女が……。製作時がナチ占領下とは思えない壮大なセットとエキストラの数にも要注目。1946年ベネチア国際映画祭特別賞、1979年セザール賞特別名誉賞受賞作品。