J.H.倶楽部

無断転載ならびに複製を禁じます。なお内容は取材・掲載当時の情報です。

月刊 人材教育 2014年06月号

CASE.3 古河電気工業 部門内の人材育成について皆で考えさせるOJT制度

古河電気工業の「OJTリーダー制度」は、ただの新入社員教育ではない。新入社員の教育を通して、リーダーの育成と職場の育成力、組織力強化などを同時に行うという取り組みである。その仕組みと工夫とは。

上原 正光 氏 総務・CSR本部 人事総務部 人財育成(採用・教育)担当部長

古河電気工業
1884年創業。1974年に世界で初めて光ファイバケーブルの製造に成功し、世界トップクラスメーカーとして情報化社会通信網の構築を支えている。事業分野はケーブル、半導体、デバイスなど情報通信事業から自動車、エネルギー、金属分野まで多岐にわたる。
資本金:693億9500万円、連結売上高:9247億1700万円(2013年3月期)、連結従業員数:5万342名(2013年3月末現在)

[取材・文]=高橋 テツヤ(又隠舎) [写真]=本誌編集部

一般的なOJTの仕組みは、新入社員に指導役がついて、手取り足取り指導していくというもの。古河電気工業の「OJTリーダー制度」も、基本的にはOJTリーダーが中心になって新入社員を育てていく。しかし、一般的なOJTやメンター制度と決定的に違っているところがある。それは、「OJTリーダー」に、部門内での特定の役割が与えられている点だ。人事総務部人財育成担当部長の上原正光氏はその役割をこう語る。「OJTリーダーには、組織で新入社員を鍛え、部門全体で新入社員を育てていくという目標を達成するために、『アレンジャー』役を果たしてもらっているのです」この「OJTリーダー」の要件は、課長職未満で、新入社員に直接接する社員。職場によって入社2年目の社員から30歳代・40歳代のベテランまで、さまざまな年齢層のOJTリーダーが存在している。「OJTリーダー制度の目的は一義的には新入社員教育ですが、実は真のねらいは、組織イノベーションを起こすことにあります」(上原氏、以下同)「新入社員教育を行いながら組織イノベーションを起こす」とはどのような意味なのか。以下、同社の「OJTリーダー制度」の仕組みを見ていく。

●仕組み全5回の研修が中心

上原氏が2010年にスタートさせたこの制度は、新入社員のOJTのPDCAを1年かけて回していくものだ。その過程で、OJTリーダーを支援する「OJTリーダー研修」を5回にわたり開催している(図)。

○1回目 キックオフ研修(5月)

1回目の研修は、新入社員がまだ正式に配属される前の5月に行われる。「新入社員が自分の席に座った時に、やるべきことが計画されていること」が最初のテーマだ。そこでOJT計画の立案の仕方から、グループメンバーを巻き込んでいくコツ、新入社員の特徴や傾向などをレクチャーする。さらに、OJTリーダーの役割についてや、この制度の趣旨、1年間のロードマップなどについて説明をし、OJTが新入社員だけでなく、OJTリーダー自身にとっても有益であることを理解してもらう。役割というのはもちろん、先述の「アレンジャー」としての役割だ。全社に分散して存在するOJTリーダーたちの横のネットワークをつくることも、キックオフ研修の重要な目的だという。

○2回目 計画フォロー・スキル研修(6月)

2回目の研修は、新入社員が配属された6月に行われる。ここで、OJTの実施に実効性のあるスキルが、OJTリーダーたちに伝授される。「OJT指導が始まった直後のこの時期には、さらに周囲を巻き込んでいくためのスキルとして、ファシリテーションスキルを指導します。また、新入社員のモチベーションを高める方法や、苦手な人とも付き合っていくための対人スキル、自身を知るアセスメントを受ける機会も提供し、OJTの中での悩みの未然防止や解消を図ります」

○3回目 進捗フォロー1(9月)

第3回の研修が行われるのは、少し時間を置いた9月だ。「3回目では、OJT計画の進捗確認と見直しや、グループメンバーをよりいっそう巻き込み、新入社員への指導効果を高めるためのコーチングスキルの指導を行っています。特に、傾聴スキルについてはデモンストレーションを通じて体感させ、さらにOJTリーダー同士で、育成の成功事例やベストプラクティスを共有する機会も設けます」ここまでを見ると、同社のOJTリーダー研修は、OJTを行うために必要なスキルや道具を伝える、というように感じられる。しかし、実はその内容は、ファシリテーションやコーチング、成功事例の共有など、事実上の「リーダーシップ開発研修」となっていることに注目したい。しかもこれらのスキルが、現場に持ち帰ってただちに活用できるタイミングで提供されているのである。

●ポイント研修内で三者の育成面談

○4回目 進捗フォロー2(12月)

こちらはJ.H.倶楽部会員限定記事です。
ご入会後、続きをお読みいただけます。

残り:1,893文字

/

全文:3,786文字

【入会・年会費無料】

J.H.倶楽部は人事の仕事に役立つ特典が満載です!

  1. 総数2000本以上の人事の実務に役立つ記事(※)が閲覧可能
    ※専門誌『Learning Design』(旧『人材教育』)の記事
  2. 新サービス・お役立ち情報(調査報告書・ホワイトペーパーなど)の先行案内
  3. 会員限定セミナーへのご招待/講演動画・配布資料の閲覧
  4. 興味関心に沿った必読記事を、メールマガジンでお知らせ!