J.H.倶楽部

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Learning Design 2021年01月刊

議論白熱 第15回 ジョブ型雇用は日本に浸透するか?

気になるテーマを気になるあの人はどう考える? オピニオンリーダーたちの意見をご紹介します!

ジョブ型雇用は日本に浸透するか?

コロナ禍でテレワークの導入が進むなか、従来のメンバーシップ型雇用から、ジョブ型雇用への移行を検討する企業が増えつつあります。

一方、情意考課などに大きく依存してきた日本の企業にジョブ型雇用はそぐわないとの意見も一部に根強く残っています。

01 「ジョブ型」という言葉にとらわれない労使が協調した体制づくりにも期待

大企業では、ジョブ型雇用の導入・対象者の拡大にともない、「労働時間ではなく、成果に応じた報酬体系」「生産性向上」「最適な人員配置と適材適所」など、各社一様に前向きな将来像を描いているようだ。しかし実際のところ「ジョブ型=成果主義」ではないし、「成績不良者は簡単にクビにできる」わけでもない。

ジョブ型を本当に目指すのであれば、ジョブディスクリプション(職務記述書)を整備し、評価や報酬制度など根本的なしくみの部分から見直し、新たな制度を浸透させていく地道な取り組みが必要である。また、労働を時間で管理し、能力不足でも簡単に解雇できない現行法や判例のうえでどう実現していくか、調整も必要だ。

現行の枠組みを維持しつつ、実質的なジョブ型を実現するためには、世の中全体で「横一線平等な処遇は無理なので、今後は格差のある働き方にするしかない」現実を受け容れなくてはならない。

「ジョブ型」という言葉にとらわれず、成果できちんと評価でき、世界で勝負できる優秀人材を適切に処遇できる体制を労使共に協調しつつ創り上げていけることを期待したい。

新田 龍(りょう) 氏
働き方改革総合研究所株式会社
代表取締役

02 日本型雇用と真逆の制度管理職から導入し、段階的に展開を

欧米のジョブ型(職務給)雇用と日本型雇用は真逆の関係にある。人に職務を当てはめる(人基準)日本型に対し、職務をこなせるスキルのもち主を任用するジョブ型は基本的に欠員補充採用であり、職務レベルが変わらなければ賃金も固定され、人事異動もない。これだけでも全員野球の中小企業に導入するのは困難だ。また、職務範囲が明確なので一見、テレワークと相性が良いように見えたり、固定的な年功的賃金を流動費化できるメリットだけを見て、安易に導入するのは禁物だ。

導入企業の多くがトライアンドエラーを繰り返してきたが、一つのカベが人事異動だ。あえて低い職務グレードに異動させざるを得ない事態が度々発生し、その結果、調整給が多量に生まれたり、職務不適格者を降級できずに実質的に制度が破綻した企業も少なくない。

新卒一括採用方式の廃止や若年層へのジョブ型導入に手をつけている企業はまだ少ない。まずは職務範囲が明確な管理職に導入し、マネジメントスキルや社員の自律的働き方の成熟度を見ながら徐々に広げていくべきだろう。

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