J.H.倶楽部

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Learning Design 2021年01月刊

気づきのトピックス調査レポート Data「With/After COVID-19時代の『新しい研修・学習スタイル』提供に向けた実態調査結果」より 実態調査から読み解く、 新たな人材育成の方向性

ニューノーマル時代にはどのような人材育成が必要になるのだろうか。本調査より、理想の「新しい研修・学習スタイル」の実現に向けた課題を提起し、新たな人材育成の方向性を考察する。

小河原 光司(おがわら こうじ) 氏
株式会社日本能率協会コンサルティング ビジネスプロセスデザインセンター チーフ・コンサルタント
2000年JMAC入社。上場小売業の「商品本部長兼事業開発室長」に転出後、2014年よりJMACに復職。
上場小売業においては、MD改革および新規事業開発に従事し、収益改革を実現。
近年は、小売業だけの革新に留まらない新たなビジネスモデルである「オムニチャネルマネジメント」の提唱・普及に取り組んでいる。

「新しい研修・学習スタイル」の萌芽

最近、経営者の方や人材育成のご担当者、責任者の方とお話しするなかで、ある特徴的な発言を複数の方からお聞きしました。その発言とは、「コロナ禍の状況は、実はチャンスなのではないか」ということです。

2020年の前半は、緊急事態宣言もあり、企業も個人も身を縮めてコロナに備える「防御」のタイミングだったことでしょう。

しかしながら、いま、このタイミングにおいて、潮目が変わったのではないでしょうか。身を縮めた「防御」から、この With/After COVID-19時代を逆に「機会」ととらえ、変革のチャンスとしようとする萌芽を、クライアントとのディスカッションから感じています。

スイスの世界経済フォーラムも、2021年1月にオンラインで開催されるダボス会議のテーマを「グレート・リセット」とし、今回の危機を契機に、より公平で、持続可能で、強靱な未来をつくることの重要性を唱えています。

新たな方向性を育成機能とインフラ両面から探る

こうしたビジネス環境の現状を踏まえ、日本能率協会コンサルティング(以下、JMAC)では、人材育成領域における変革の在り方を提案すべく、2020年7月に「With/After COVID-19時代の『新しい研修・学習スタイル』提供に向けた実態調査」を行いました。

本調査を設計するなかで、「JMACラーニングピラミッド」というフレームワークを開発しました(図1)。

このピラミッドは「人材育成に直接かかわる諸機能」として①ラーニング企画(人材育成の全体企画)②研修企画(個別の研修企画)③(研修)実行④ 育成フォロー(研修後の育成支援への関与)の4機能。

そして前提となる育成環境のインフラ諸機能として、⑤タレントマネジメント(人材育成状況の管理とモニタリング)⑥ リモートインフラ(リモート環境)⑦ ビジュアリゼーションインフラ(人材育成方針、投入時間等)の3機能という、合計7つのラーニング機能より成り立っています。

これは、人材育成は、研修などの「人材育成に直接関わる機能」だけではなく、人材育成を支える基盤である、タレントマネジメントや育成への投入時間などの「人材育成を支えるインフラ機能」の両面から検討すべき、という思想に基づくものです。

本調査は、この7領域を包含した設問を設計し、調査企業の総合人材レベルの良し悪しがどの「領域」に起因し、具体的な課題は何かを導き出したものです。

本調査から見えた「タレントマネジメント」への課題

調査結果サマリーにあるとおり、現状の人材育成機能として達成度が低い領域は、「育成フォロー」と「タレントマネジメント」の領域という結果になりました。

この結果を深掘りし、「総合人材レベル」に影響を与える因子を、回答者の主観によらない客観的指標(寄与率)として回帰分析を行ったところ、「総合人材レベルへの影響度が大きく、かつ領域別レベルが低い」、すなわち客観的に「対策が必要な重点領域」は、特に「タレントマネジメント」であると抽出されました(図2)。

次に、その内訳をみると、各設問の「達成レベル×重要度」の分布(図3)状況から、「設問別レベルが下位、かつ重要度が上位」の設問、すなわち回答者にとってもっとも課題感の強い設問とは、タレントマネジメント領域の、「(人材育成の)成功事例の社内共有、暗黙知の形式知化のしくみ」という結果でした。LMS(学習管理システム)ツールのなかで、育成の成功事例やノウハウ・知識が共有できているかということです。さらに、「レベルが下位、かつ重要度が中位」、「レベルが中位、かつ重要度が上位」の設問まで含めると、「タレントマネジメント」の領域の設問が5問中4問まで該当しています。

前述の客観的課題抽出と、この回答者の主観的課題認識の両面からみて、「タレントマネジメント」への課題感の強さは明白です。

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