連載 新しきは足下にあり 第14 回 人間力が、勝負の決め手
西郷南洲と勝海舟の交渉
このところ教育研修の目的として急浮上してきたものに「人間力」があります。
企業研修はもとより、文科省までもがその重要性を主張するようになって、学校教育においても注目を集めています。
なぜいま人間力なのでしょうか。
社会の混迷と厳しい企業環境を受けて、しょせん通り一遍の知識や技法では何の役にも立たない。やはり人間と人間が対峙した時に、相手から感じるいかんともしがたい人間的力量の差こそが、勝負を分ける決め手であることを、痛感することが多くなったということではないでしょうか。
特にグローバルな状況になればなるほど、国籍や民族の違いを越えて関係を築かなければなりません。そうした時に結局決め手になるのは人間力なのです。
では、その人間力とはどのようなものなのでしょうか。
概念的に考えるより史実で考えてみる方がわかりやすいと思います。
近年において最も人間力が発揮されたと思われるのは、何といっても「江戸無血開城」の西郷南洲と勝海舟の交渉です。